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本物のポゼッション。ユーロ優勝候補スペインと他国の差はどこか?

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki photo by Mutsu Kawamori

 かつてユーロとワールドカップを合わせて3連覇を成し遂げたチームに対し、最近は冷ややかな視線が注がれることが多い。

 いわく「ボールを保持するだけで点が取れない」と。

 もちろん、そうした側面がないわけではない。現在のスペイン(2008ユーロ優勝、2010W杯優勝、2012ユーロ優勝)は中盤やサイドのタレントこそ相変わらず豊富だが、センターフォワードの人材不足は悩みの種だ。ビセンテ・デルボスケ監督が、35歳のベテランFW、アリツ・アドゥリスをメンバーに加えたあたりに苦労が透けて見える。

 だが、ストライカー不足はスペインだけのことではない。世界中のほとんどすべての国が、大なり小なり抱えている問題である。現在、その点に悩みがないのは、アルゼンチン、ポルトガル、ウルグアイくらいのものだ。ストライカー不足を理由にスペインの強さにケチをつけるのは、ナンセンスと言うしかない。

 ボールを保持するばかりで、点が取れない?

 ボールポゼッションできることの何が悪いのか。ボールを保持している限り、失点することは絶対にありえないし、何よりスペインは自慢の中盤が多くの決定機を作り出している。ワンチャンスを独力で決めてくれるストライカーがいないのなら、できるだけ多くのチャンスを作ることがゴールの可能性を高める方法であるはずだ。

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