クロップ監督退任でドルトムントと香川真司が失うもの (2ページ目)
193センチの長身と派手なアクションから豪放磊落な人間と思われがちだが、実はそうでもない。
2010~2011シーズン以降、ドルトムントが練習を公開する回数を減らしたのはクロップが嫌ったからだと言う。ドイツでは練習を一般公開するケースがほとんどで、ドルトムントのような人気クラブであれば常に大勢のファンが練習場につめかける。だがクロップは静寂な環境での練習を優先させた。練習場の周囲には何もなかったため、当初は遠目から練習の様子を覗くことが可能だったのだが、現在は練習場を囲うように目隠しが設置されている。その性格はむしろ神経質にも感じられた。
クロップが退任を発表し、DFフンメルスやMFギュンドアン、ミキタリアンといったドルトムントの選手だけでなく、すでにクラブを去ったMFライトナー(現シュツットガルト)なども、SNSにクロップとの2ショット写真を掲載し、感謝のコメントを添えた。その全てが、クロップとハグをする写真だった。
スタジアムでは選手の目を見つめ、力強く抱きしめるクロップの姿が見られた。印象に残るのは2011~2012シーズン、優勝を決めたボルシアMG戦で香川真司がゴールを決めた後のシーンだ。走り出したクロップは、まるで子供のように香川を抱き上げた。
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