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「守備的MF」とは名ばかり。W杯を席巻するピッチ上の監督たち (4ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Getty Images

 今が旬、売り出し中なのはコケ(スペイン代表/アトレティコ・マドリード)だ。シャビ二世と言われるが、シャビよりもさらに「中盤的」だ。オールラウンドな動きができるパッサー。ひと言でいえばそうなる。かつて、守備的でもなければ攻撃的でもない選手を、「8番の選手」と呼んだことがあった(とりわけ日本で)。中盤のバランスを整えることがその一番の役割だと言われたが、存在としては地味だった。主役ではなく脇役。それが一転、今日では司令塔に昇格した。コケはそうしたトレンドを象徴する選手と言っていい。

 現在はスペイン代表の30人のメンバーに選ばれている段階で、本大会でどれほど出場機会が与えられるか定かではない。だが、スペインが連覇するためには、新戦力の台頭が不可欠だ。

 メンバーの固定化。スペインの力が一時より弱まっているように見える、これが最大の原因だ。勝ち続けたばかりに、変えられなくなってしまった。その弊害を、確かに垣間見ることができた。FWジエゴ・コスタの加入はその意味でも貴重。カンフル剤に十分なり得るが、コケがどれほど出場機会を得られるかも、大きなカギになる。

 そのスペインを、ブックメーカーの前評判でわずかに凌ぐドイツ代表にも、W杯初出場選手がいる。トニ・クロース(バイエルン)だ。自慢は展開力。視野の広さを武器に、常に逆サイドに目を配るドイツのシャビ・アロンソだ。

 4-2-3-1のドイツ代表で、そのクロースとコンビを組むのは、バイエルンの先輩のシュバインシュタイガー。こちらは元サイドアタッカーだ。半分フォワードに近い選手だった。

 バイエルンのグアルディオラ監督は、サイドバックのラーム(ドイツ代表)をそこで起用することもある。現役時代、彼は、スペイン風に言うところのピボーテ、バルサ風に言うところの「4番」で活躍した名手。その彼がラームを、低い位置で構えるゲームメーカーに適した選手だと判断した。グアルディオラにはスペインリーグ3部でプレイしていたブスケッツ(スペイン代表)を「4番」のポジションに大抜擢し、成功を収めた過去がある。 

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