W杯で日本は止められるか。新タイプのトップ下プレイヤーたち

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Getty Images

欧州サッカーの旗手たち(3)~攻撃的ミッドフィルダー編

 4-4-2、3-5-2全盛の時代から、4-2-3-1、4-3-3全盛の時代に変化したことで、トップ下の概念も変わった。2トップ下から1トップ下へ。

 2トップ下には「作る」イメージがある。攻撃的MF。華のある選手は、10番、司令塔とも呼ばれた。ファンタジスタというイタリア語にも置き換えられた。だが1トップ下は、そんなイメージが必ずしもしっくり来るわけではない。その前方には1人しかいない。「作る」より「決める」に比重は傾く。攻撃的MFというよりアタッカー。FW色が増した。

仏リーグ2位、モナコのハメス・ロドリゲス(コロンビア代表)仏リーグ2位、モナコのハメス・ロドリゲス(コロンビア代表) 背番号10のポジションではあるが、司令塔色はずいぶん薄まっている。むしろそれは一列下の選手に相応しい役回りになっている。かつての10番タイプの選手は激減。めっきり姿を見かけなくなった。ファンタジスタも、サッカー界では死語になりつつある。サッカーは大きく変化した。

 エジル(ドイツ代表/アーセナル)はそうした中にあって、司令塔の面影を残す貴重な存在になる。どちらかといえば硬質な感じを抱かせるドイツ人選手の中で、その柔らかみのあるプレイは際立つ。ファンタジスタという死語を、生きた言葉に復活させたくなるが、かつての10番と比較すれば、やはり特性は異なる。FW的であるし、4-2-3-1の3の両サイドを務めるユーティリティ性もある。ゲームメーカーというよりアタッカーだ。

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