元ミランDF・コスタクルタから本田圭佑への激辛アドバイス

  • クリスティアーノ・ルイウ●取材・文 text by Cristiano Ruiu 宮崎隆司●翻訳 translation by Miyazaki Takashi

 イタリア代表としても実績を残した名DF、アレッサンドロ・コスタクルタが、ミランOBとして現在のミランの10番である本田圭佑をどのように見ているのか? 本音で語ってくれた。

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――なぜミランは本田に「10番」を与えたのでしょう。

 本田自身がそれを希望したと聞いているし、実際、本田という選手は自らの才能に絶対的なまでの自信を持っているという印象がある。きっと彼は自らの才能に揺るぎない自信を持っているからこそ10番を望んだのだろう。そして、そのこと自体は本田という選手が大きな責任を担うことに怯(ひる)まないという証なのだから、実にポジティブなことだと捉えていい。

チャリティマッチでカズと競り合うコスタクルタ氏 photo by AFLOチャリティマッチでカズと競り合うコスタクルタ氏 photo by AFLO それでも、やはりミランの10番に値すると認められるには、今の彼が持ち得ていないクオリティを備えておく必要がある。

 そのうえで、「なぜミランが10番を与えたのか」という点に関して言えば、技術的な部分とは趣を異にする理由も少なからずあったのだと思う。それに関して僕は否定するつもりはないし、クラブの首脳は今のミランに必要と信じたからこそ本田を獲得したのだから、あとはその期待に選手の側が応えなければならない。

――期待に応えなければならない本田はしかし、本来のポジションではない右サイドで起用され続けている。これは本田にとって決して小さくはない問題と言えるはずですが。

 事の核心はポジションがどうとかいう次元にはないというのが僕の考えだ。問題はその選手が持っている"質"、すなわち実力であって、そこには単に技術的な面だけでなくメンタル、そしてフィジカルも当然のことながら含まれる。要するに、一選手としての総合力という根本的な部分こそが問われていている。

 たとえばボージャン・クルキッチというスペイン人選手が昨季のミランに所属していたが、あれだけ優れたテクニックを備えていながら、彼はイタリアで真価を発揮するには至らなかった。さらに言えば、クルキッチのテクニックは明らかに本田を上回っていた。ふたりを一概に比較はできないとしても、いわゆる総合力を正確に考えようとする上で、こうした実例は参考になるだろう。

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