【Jリーグ】佐藤寿人は森保監督の言葉で原点を見つめ直した「ストライカーの責任から逃げていた」 (4ページ目)
【ハシェック超えが大きな勲章】
試合は前半こそ手堅い展開となりましたが、後半立ち上がりにカズ(森崎和幸)のゴールで先制しました。一度は同点にされたものの、78分に(髙萩)洋次郎がボレーを決めて、2-1で競り勝つことができました。
この大一番で存在感を放ったのは、両サイドでプレーする清水航平と石川大徳の若いふたりでした。ふたりとも開幕当初は試合に出られませんでしたが、主力の離脱もあり、徐々に頭角を現してきました。この仙台戦でも臆することなくプレーし、ゴールにも絡んでいます。自分を表現して、チームを勝利に導いてくれたことが頼もしく感じられました。
彼らとは、いつも居残りでクロスの練習をしていたんですよ。その成果が出たのもうれしかったですね。
この仙台戦で勝利を収め、首位の座を奪還した僕らは、以降、その座を明け渡すことはありませんでした。浦和は失速し、仙台との一騎打ちとなるなか、シーズン終盤は足踏みを強いられる時期もありました。
ただ、優勝の重圧がなかったと言えば嘘になりますが、プレッシャーに苦しんだわけでもありません。僕らはそもそも、開幕前から優勝を目指せるような状況ではなかったですから。
優勝争いは初めてだったので、目の前の試合のことでいっぱいいっぱいだったんですよ。優勝経験のあるメンバーはディナモ・ザグレブでプレーしていたミキッチくらいで、僕も含め「優勝とはなんぞや?」という感覚でしたから。
それよりも僕がリアルに目指していたのは、クラブ記録を超える20ゴールを奪うこと。それまではハシェックの19ゴールが最多だったんですが、27節の鳥栖戦で20ゴールに到達し、記録を塗り替えることができたのは、僕にとっての大きな勲章です。
もちろん、シーズン終盤に首位に立っている以上、優勝というものを意識せざるを得ない状況でもありました。サポーターの期待も大きかったですし、メディアからも優勝争いについて聞かれることが増えていったので、優勝を現実的に考えるようにはなっていました。
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