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J1リーグの過半数が3バック採用 京都サンガの「守備固め」常態化にも違和感 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Yamazoe Toshio

【5バックへの変更が常態化している京都】

第4節、川崎フロンターレを0-1で破り喜ぶ京都サンガの選手たち 第4節、川崎フロンターレを0-1で破り喜ぶ京都サンガの選手たち  オーソドックスな4バックを敷くチームでも、終盤になると5バックに変更、"守備固め"に入るチームも目に留まる。たとえば京都サンガ。曹貴裁監督は先週土曜日の川崎戦(第4節)、その前のヴィッセル神戸戦(第3節)、さらにその前の浦和レッズ戦(第2節)と、立て続けに終盤、この作戦を採用。お約束と化している。

 神戸戦でその時を迎えたのは、1-0のリードで迎えた後半33分だった。MF福岡慎平に代えSBアピアタウィア久を投入。布陣を4-3-3から5バックに変え、逃げ切りを図った。ところが後半56分(アディショナルタイム)、神戸に同点弾を浴びてしまう。

 後半33分以前とそれ以降では、試合内容は大きく違っていた。曹監督が意図的に布陣を変えたわけだ。敗因は監督の作戦失敗であることは明白である。京都が4-3-3のまま戦っていたら結果はどうなっていたかはわからないが、結果に影響を与える重要なファクターになっていたことは確かである。京都の地元メディアがこれをどう報じたか。欧州のメディアならばここは間違いなく突っ込んでいる。監督は激しく非難されているだろう。

 神戸戦では5バックで戦った時間は24分間だったのに対し、川崎戦は実質6分間だった。その試合後の会見で、曹監督は以下のように振り返った。

「1点を取って守りに入るのが早すぎたという前戦の反省があったので、今日は2点目を取りに行く、相手コートでプレーすることが最大のリスク回避だという話をしました。最後の2、3分は押し込まれましたが......前節悔しい引き分けに終わって、それをよく生かしてくれたなと思います」

 前戦の反省は、誰がしたのか? なにより、そのあたりが不鮮明なことに疑問を覚えた。監督の布陣変更は半ば強制だ。まさに上意下達で選手は逆らえない。従順にならざるを得ない。つまり、結果に対する全責任は監督が負うことになる。さらに終盤、5バックに変更するのはこれが3試合連続である。まさに常態化している自身の采配に特殊性を感じていない様子も、見過ごせなかった。

 1点リードしたチームが終盤5バックにして守りを固めるケースは、世界的にどれほどあるか。欧州では歴史的に、プレッシングの台頭とともに、その数は減った。守備固めの概念が一変したのだ。

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