ミッチェル・デュークが「ワクワクする」と語るFC町田ゼルビア優勝への挑戦「いや、練習は本当にきついんだよ(笑)」 (3ページ目)

  • 井川洋一●取材・文 text by Igawa Yoichi

【日本は僕の第二の故郷】

 そう話すデュークは、日本の歴史や伝統にも敬意を払っている。しかも文字どおり、自身の身体に日本を刻んでいるのだ。

「僕は本当に日本を愛している。見てよ、両腕に日本のタトゥーを入れているんだ。富士山、京都、岡山後楽園があるでしょ。神社や桜の木もね。僕の母国オーストラリアは、歴史が浅い国だ。でも日本には、古くてすばらしい伝統や文化がある。そんな国で、自分のキャリアの大半を築けていることを、誇らしく思っている。日本は僕の第二の故郷だ。

 2日以上オフがあると、僕は必ずどこかへ出かけるんだ。この国には、見て回るところが本当にたくさんあるからね。今は東京に行くことが多いね。目黒川や新宿御苑でゆっくりしたり、チームラボプラネッツですごい体験をしたり、子どもが来ている時は読売ランドとか、テーマパークに行ったりもするよ。子どもたちにとっても、日本は最高に楽しいところなんだ」

 ピッチの内外で充実した日々を過ごしているデュークは、そう話してまた微笑んだ。

 このインタビューのあと、町田は北海道コンサドーレ札幌と引き分け、サンフレッチェ広島との首位対決に敗れ、3位となってしまった。相手の対策が進み、勝ち星が少なくなってきているのも事実だ。また他クラブの一部のファンからは妬まれ、SNS上で誹謗中傷にまで発展している。

 ただひとつ言えるのは、デュークの言葉を借りるまでもなく、今季の町田の快進撃によって、Jリーグがより大きな注目を集めていることだ。賞賛も批判(行き過ぎたものは別にして)も、波風が立たないよりはマシだ。彼らのJ1での処女航海の行く末を、しかと見届けたい。

(おわり)

ミッチェル・デューク 
Mitchell Duke/1991年1月18日生まれ。オーストラリア・ニューサウスウェールズ州出身。セントラルコースト・マリナーズのユースチームから2011年トップチームデビュー。2015年から清水エスパルスで4シーズンプレー。2019年に母国のウェスタン・シドニー・ワンダラーズへ移籍し、途中サウジアラビアのアル・タアーウンを経て2021年まで在籍。同年の夏にファジアーノ岡山に移り、1シーズン半プレー。2023年からはFC町田ゼルビアで活躍している。オーストラリア代表としては東京五輪、カタールW杯に出場している。

著者プロフィール

  • 井川洋一

    井川洋一 (いがわ・よういち)

    スポーツライター、編集者、翻訳者、コーディネーター。学生時代にニューヨークで写真を学び、現地の情報誌でキャリアを歩み始める。帰国後、『サッカーダイジェスト』で記者兼編集者を務める間に英『PA Sport』通信から誘われ、香港へ転職。『UEFA.com日本語版』の編集責任者を7年間務めた。欧州や南米、アフリカなど世界中に幅広いネットワークを持ち、現在は様々なメディアに寄稿する。1978年、福岡県生まれ。

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