川崎フロンターレの復活はあるのか?「ボールを握る」伝統を受け継ぐために必要なこと (3ページ目)
不振が叫ばれているが、絶対的な強さを誇った時代を継承するのは簡単ではない。当時からは三笘薫、守田英正、田中碧、旗手怜央、谷口彰悟、山根視来という日本代表選手たちが次々に旅立っている。エースの中村憲剛が引退し、レアンドロ・ダミアンは退団。小林悠、家長、ソンリョンもベテランの域に入った。本来、チームを刷新するほどのテコ入れが必要なのだ。
しかし、ボールを握ってアドバンテージを作る伝統を受け継ぐには、現在の選手で勝利を重ねるしかない。
6月16日のJ1第18節は、国立競技場でのJリーグ王者ヴィッセル神戸との一戦となる。まもなくシーズンの折り返しで、ひとつの山場だ。
「敵陣でボールを握れなければ意味がない」
そう言いきるチームの試練である。
著者プロフィール
小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。
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