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対戦相手が恐れる青森山田の強靭なボディの秘密「体つきや筋力が違う」トレーニングの中身 (4ページ目)

  • 平野貴也●取材・文 text by Hirao Takaya

【フィジカル能力を数値化している】

――先ほど姿勢評価アプリの話がありましたが、ほかにも測定しているものはありますか?

 5月と11月の年に2回、東京のワイズ本社のトレーナーが訪れてフィールドテストを実施しています。キック力、50m走、ハードル走、ステップワーク、20mシャトルランなどいくつかの項目を行ない、フィジカル能力を数値化しています。

 測定したデータは、チームごとや学年ごとにカテゴリー分けしてランキング化され、選手のモチベーション向上につなげています。例えば、キック力だと、利き足で40mくらいしか蹴れなかった子が、卒業するまでに+10~20mくらいは蹴れるようになります。

 これは、単なる筋力強化の話ではなく、年齢的に身体が成長している部分もありますし、股関節の使い方や、上半身と連動させた効率の良い蹴り方を覚えると、全身のパワーをうまく伝えられるという部分が大きいです。

 このテストのデータは、高校1年から3年まで、また中学から青森山田に在籍している子は、さらに計6年間の蓄積データがあり、各選手がどのように変わっていったかがわかりやすいです。残念ながら、今季の選手については、コロナ禍で数年実施できないことが多かったので、ほとんどデータの話ができないのですが......。

――身体測定でサイズアップを確認するようなことは?

 見た目の変化を求めているわけではないので、サイズの測定はしていません。ただ、身体作りは、筋力トレーニングだけではなく、栄養・休息によるリカバリーが非常に重要だということは、常に選手が意識しています。

 例えば、コーチによる朝食の食トレを実施して、スポーツ選手としての積極的なエネルギー摂取を促すなどの働きかけを続けた結果として、効率の良い体重増、あるいは疲労性のケガの減少につながっていると感じています。

 2023シーズンからは、より具体的に数値で評価するため、BMI(Body Mass Index=体重を身長の二乗で割って算出する体格指数)の目標値を設定しました。2023年末には、トップチームの平均数値としてGK 23.5、フィールドプレーヤー23.0という数値に到達しており、今後もチームが求める「身体作り」に対する、ひとつの指標となると考えています。

後編「青森山田のトレーニングはもはやプロなみ? 仕上げた身体をサッカーに活かす工夫」>>

若松佑弥 
わかまつ・ゆうや/1991年生まれ、青森県青森市出身。青森山田高サッカー部では、椎名伸志(カターレ富山)が同期(2009年度の全国高校選手権で準優勝、1学年下にMF柴崎岳/鹿島アントラーズや、GK櫛引政敏/ザスパクサツ群馬がいた)。選手権はマネージャーでベンチ入り。帝京大学の医療技術学部柔道整復学科を卒業後、J2栃木SCアカデミーコーチを務めたのち、2015年にワイズアスリートサポートインコーポレイテッド(現・ワイズスポーツエンターテイメント)に転職、2016年に株式会社AKcompanyが運営するワイズ・パーク青森センター店の開業に携わり、現在は統括責任者を務める。2015年から青森山田高サッカー部のチームトレーナーとしてチームに関わっている。

著者プロフィール

  • 平野貴也

    平野貴也 (ひらの・たかや)

    1979年生まれ。東京都出身。専修大学卒業後、スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集記者を経て2008年からフリーライターとなる。サッカー、バドミントン、カバディ等、スポーツ全般を取材している。

【写真】高校サッカー選手権 歴代応援マネージャー

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