対戦相手が恐れる青森山田の強靭なボディの秘密「体つきや筋力が違う」トレーニングの中身 (3ページ目)

  • 平野貴也●取材・文 text by Hirao Takaya

【選手たちのトレーニングへの意識も高い】

――シーズン中はどのようにトレーニングしているのですか?

 大体、週末に試合があるので、翌日はリカバリーを入れていますが、そのなかでウエイトトレーニングを入れています。その翌日がオフになり、水曜日には次の試合に向けた立ち上げのグラウンドフィジカル、週末にもう一度補強やアジリティなど、試合に向けて個々に刺激を入れています。

 今季、正木昌宣監督からは、特に「初速の筋力発揮と動きの連続性」を求められていました。中盤のプレッシングの強度や連続した守備の追求、最終ラインに大柄な選手が多いですが、スピードや俊敏性の部分で能力の高い選手に負ける場面が多く見受けられたことが影響しています。

 水曜日のメニューについては、ジムではなく、グラウンドフィジカルを45分程度実施しています。対人トレーニングでは、アメフトのように手にボールを持ち、1対1や3対3を行ないました。ボールを足で扱わないのは、技術ミスによって、目的とする動きの連続性や運動強度などトレーニングの効率が落ちるからです。

 少人数にすると、休息時間が短くなるため必然的に心拍数は上がります。そのなかで、守備では相手に合わせて正しくステップワークを選択し、突破を図る攻撃側の選手に対してタイミングよく接触して進路を塞ぐ。攻撃では、爆発的なスプリントやカッティング(方向転換)動作で相手を置き去りにする。

 3対3になると、状況に応じたコミュニケーションも求められます。ダッシュ、ストップ、方向転換など、さまざまな要素がありますが、これらがうまい選手は、アジリティテスト(『ステップ50』と呼ばれるメニュー)をやっても速いです。逆に数値が悪い選手は、対人でステップの運びも悪いので、アジリティ強化メニューを個別に与えることもあります。

――青森山田の選手は、かなり高い意識を持って取り組んでいる印象があります。

 そうですね。私が勤務させていただいているワイズ・パーク青森センター店ができたのが、全国高校選手権で初優勝した2016年。そこから、フィジカル面の強さがチームカラーとして認知され始め、厳しい環境で成長しようと高い志を持った選手が入って来るようになったことも、取り組みへの意識が高い要因ではないでしょうか。練習前にグラウンドで補強トレーニングを行なっている選手もいます。

 また、データを出してアプローチすることで、選手も納得して取り組んでくれています。ただ、数値評価ばかりを求め、無理に重い物を上げようとして腰などを痛める可能性などもあるので、十分注意が必要です。

 毎日、一人ひとりのトレーニングを個別に対応することは難しいですが、練習や試合でケガをした選手が出た場合には、まず相談を受けて、適切な初期対応をしたり、ワイズ・パークで患部の評価やリハビリメニュー作成を迅速に行なうように心がけています。

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