対戦相手が恐れる青森山田の強靭なボディの秘密「体つきや筋力が違う」トレーニングの中身 (2ページ目)

  • 平野貴也●取材・文 text by Hirao Takaya

【3年間で20~30kgは持ち上げられる重さが向上】

――数値は、3年生になる直前のものですよね? 入学時は?

 新入生だと、スクワットが50~80kg、ベンチプレスは40~50kgしか上げられない選手もいます。入学時は細身でまったく上げられない選手もいましたが、大体、3年間で20~30kgは持ち上げられる重さが向上します。

 個々の最大値で比べれば、筋力トレーニングを行なっている他チームの選手と比較しても、それほど大差はないかと思いますが、部員全員の平均値であれば、全国的に見て高いと評価されるかもしれません。

 新入生の段階では、まず、ケガをしないための補強や機能性向上メニューのレクチャーをします。どんなに良いトレーニングでもフォームが崩れていると、ケガをしてしまう可能性があるからです。

 最近はYouTube等の動画を見てマネしようとする選手もいますが、みんなが同じ体格や能力ではないので、個々に合ったメニューを行なうことの大切さも教えています。

――選手ごとに個別のアプローチもあるのでしょうか

 筑波大発のベンチャー企業「Sportip」が姿勢をAIによって分析するアプリを作っていたのですが、ワイズ本社のオリジナルメソッドの動きなどいくつかの項目を動画で評価し、各選手の弱点を見つられるシステムを共同開発しました。それを使い、各選手の改善箇所を見つけトレーニングに活かしています。

 例えば、キック動作ひとつをとっても、股関節周りや体幹の筋力、片足バランス、全身の力を生かしてボールを蹴る時に必要な可動域の向上など、一つひとつの弱い部分を強化します。そうすることで、最終的に組み合わせた時にパフォーマンスアップにつながります。

この記事に関連する写真を見る青森山田のウエイトトレーニングの様子と姿勢分析アプリの画面(写真は若松佑弥トレーナー提供)青森山田のウエイトトレーニングの様子と姿勢分析アプリの画面(写真は若松佑弥トレーナー提供)この記事に関連する写真を見る 基礎筋力も大事ですが、動作を効率的でパワフルに行なえるようになることが重要です。オフシーズンは、チームとしての基礎筋力強化と、個別の弱点克服の2本がトレーニングの柱です。

 今季10番をつけたMF芝田玲は、精度の高いキックが武器ですが、蹴り方によって股関節に負担がかかり過ぎることもあったので、AIで評価して(キック動作の)機能を改善し、パフォーマンスが上がりました。

 また、弱点強化は、ケガ予防や再発防止にも役立っています。

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