青森山田の守護神は驚くべきメンタルの持ち主 準決勝も「PKが来るだろうなっていうのは予測していて」2本もストップ (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei

【青森山田のGK鈴木将永がPK戦に強い理由とは?】

 それでも、小泉とキャプテンの山本虎(とら/3年)の2センターバックを中心に何とか耐え忍んでいたものの、79分に左サイドを崩されて同点ゴールを浴びてしまう。さらに85分にもラインの背後を突かれ、絶体絶命のピンチを迎えている。

 あるいは、このシーンが勝敗を分けたポイントとなったかもしれない──。市立船橋の波多秀吾監督もこの場面を悔やんだ。

「選手たちは粘り強く、我慢強く、攻撃を組み立てて、しっかりと点数を取ってくれた。そして次の点数が取れそうな場面もあった。そこを取れるか、しのぐかというところが、キーポイントだったのかなと思います」

 青森山田にとっては、1-1で試合を終えた時点で、勝利を確信していたかもしれない。

「PK戦に関しては、鈴木将永(しょうえい/3年)という絶対的に信頼しているキーパーがいますので、本当に準備してきた結果が出てよかったと思います」(正木監督)

 鈴木は昨年の大会でも3回戦の国見高戦でPK戦要員として登場し、勝利に貢献。今大会でも2回戦の飯塚高戦でPK戦を経験し、ここでも見事なセーブを見せていた。そしてこの日も2本のストップを披露し、決勝進出の立役者となったのだ。

 驚かされるのは、そのメンタルだ。

「ここの舞台でPKが来るだろうなっていうのはある程度予測していて、だから実際に今日、PK戦になっても焦らずというか、冷静に準備してきたことを、しっかり出せたかなと思います」

 PK戦に強い理由を問われると「過去のデータを頭に入れてやってもなかなかうまくいかないと思っているので、 自分が磨き上げてきた感覚を信じてやっている感じです」と説明。圧巻だったのは、味方のキックが止められた直後の4本目だった。

「1本くらいは(相手に)止められるだろうなと思っていたので、別に焦ることなく、ただ自分が止めればいいだけという感じで、落ち着いて入れました」

 その言葉どおりに、鈴木は1本目に続いてこの4本目も完璧にストップしてみせた。

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