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Jリーグ「今季のベストゲーム&最も印象に残るシーン」は? 識者5人が振り返る (4ページ目)

【歴史に刻まれるイニエスタとの別れ】
中山淳(サッカージャーナリスト)

ベストマッチ:第9節、ヴィッセル神戸対横浜F・マリノス(4月22日)
印象的シーン:イニエスタ退団セレモニー(7月1日)

 J1優勝を最後まで争った両チームの直接対決は、とても印象深い試合だった。

 最初の対戦となった第9節。ヴィッセル神戸のホームで行なわれた試合は、スペクタクル性という点でシーズンベスト。まず神戸は前半19分に汰木康也が先制ゴールを決め、28分に大迫勇也が加点。2点をリードしたものの、横浜F・マリノスが33分にアンデルソン・ロペス、前半アディショナルタイムに渡辺皓太のゴラッソで追いつき、タイスコアで前半終了。さらに後半82分に横浜FMが再びアンデルソン・ロペスのゴールで逆転に成功し、王者の底力を見せつけた。当時、敗れた神戸がタイトルを手にするとは想像もしていなかったが、いま振り返れば、その試合が伏線だったように感じられる。

 リターンマッチとなった第29節(9月29日)は、2位横浜FMが、勝ち点1ポイント差で首位に立つ神戸を迎えた天王山だった。試合内容はスペクタクルとはほど遠いものだったが、それでも神戸は大迫のPKと武藤嘉紀の追加点を守りきって完封勝利を収めた。神戸がシーズンを戦うなかで成長した姿が、そこにはあった。

 忘れられないシーンは、初優勝を果たした神戸を支えてきた名手アンドレス・イニエスタの退団セレモニーだ。7月1日の第19節、北海道コンサドーレ札幌戦。その場にいられなかったのは痛恨の極みだが、イニエスタの別れの挨拶、サポーターのチャント、その最中にゴール裏に現れたイニエスタを描いた芸術的な横断幕など、すべてが感動的で忘れられない時間だった。間違いなくJリーグの歴史に刻まれる名シーンのひとつだ。

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