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Jリーグ「今季のベストゲーム&最も印象に残るシーン」は? 識者5人が振り返る (2ページ目)

【神戸と横浜FMの戦いの基軸が明確になった】

小宮良之(スポーツライター)

ベストゲーム:第9節、ヴィッセル神戸対横浜F・マリノス(4月22日)
印象的シーン:大迫勇也の無双ぶり(4月22日)

 ヴィッセル神戸対横浜F・マリノスは、今シーズンを象徴する試合だった。優勝した神戸が本拠地で逆転負け、優勝を逃した横浜FMが敵地で2-3の逆転勝ちを収めた。結果とは裏腹に、それぞれの戦いの基軸がはっきりとしたゲームと言える。

優勝を決めた大迫勇也らヴィッセル神戸の選手たちphoto by Masashi Hara/Getty Images優勝を決めた大迫勇也らヴィッセル神戸の選手たちphoto by Masashi Hara/Getty Imagesこの記事に関連する写真を見る 神戸は大迫勇也中心の戦い方に完全に切り替え、終盤に投入したアンドレス・イニエスタと決別することになった。守備は前線からのプレスで押し込み、攻撃は縦に速くボールを送り込む。先制点はロングボールで相手のミスを誘って最後は汰木康也が押し込み、2点目はどんどんボールを縦につけて、左からのクロスを大迫が叩き込んだ。敗れはしたが、戦術が定まった。

 一方で、横浜FMは水沼宏太、渡辺皓太、アンデルソン・ロペスの3人はボールを運んで攻めていく"マリノスらしさ"を感じさせたが、スピードとパワーに頼ったカウンター一辺倒になりがちで、ビルドアップを引っかけられることも少なくなかった。岩田智輝(セルティック)、高丘陽平(バンクーバー・ホワイトキャップス)を移籍で失い、マルコス・ジュニオールも低調で(その後、サンフレッチェ広島に移籍)、小池龍太をケガで欠いたのも痛かったが......。逆転勝利に酔う姿に、アンジェ・ポステコグルー前監督の遺産が尽きた印象を覚えた。

 印象的なプレーは、やはりこの試合での大迫の無双ぶり。ヘディングゴールは豪快だった。ポストプレーはエレガントで、フリックは芸術的、ロングボールは胸で収めた。オフサイドで取り消されたが、ヒールのシュート技術も出色だった。

 特筆すべきは、大迫がこの無双を、シーズンを通して続けた点だろう。年間MVPにふさわしい。もっとも、欧州から"撤退"を余儀なくされたベテランストライカーに誰ひとり太刀打ちできなかった事実も重いが......。

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