川崎フロンターレに8年 韓国人GKチョン・ソンリョンが日本の生活で驚き「とにかく速くという考えの母国では見たことがない風景でした」 (4ページ目)
【コンビニやエレベーターで驚いた】
「コンビニのレジで、年配の方が現金でお金を払っている時のことです。そこでおじいちゃんやおばあちゃんに、若い店員がゆっくりとお札や小銭の数を数えながら確認をしていたんですよ」
なぜ驚いたのか。それが韓国では見たことがない風景だったからだ。
「とにかく速く、速くという考えのある韓国ではあまり見たことがない風景でした。コンビニの支払いでもとにかくキャッシュレスで速く済ませよう、という。日本のそのコンビニでの風景は、スピード感はないけれど、親切で、ゆっくりとしていて感動を覚えました。」
日本のエレベーターでも驚くシーンを目にすることがあった。
「乗り遅れそうな人に対し、すでに乗っている人がボタンを押してちょっと待ったりするでしょう? その姿にも驚きました。そうでなくとも普段から、あとに乗ってきた人は『すみません』という声をかけて乗ってくることがあります。自分自身が先ではなく、相手に配慮するんだなという姿がとても印象的ですね」
後編「チョン・ソンリョンが語る日本代表選手たち」につづく>>
チョン・ソンリョン
鄭成龍/1985年1月4日生まれ。韓国京畿道城南市出身。済州島の西帰浦高校から2003年にKリーグ浦項スティーラースに入団。2008年から城南一和、2011年から水原三星でプレー。2016年に川崎フロンターレに移籍し、クラブの数々のタイトル獲得に貢献。Jリーグベストイレブンにも2度選ばれている(2018、2020年)。韓国代表では2008年北京五輪、2012年ロンドン五輪に出場。ワールドカップは2010年南アフリカW杯、2014年ブラジルW杯に出場している。
著者プロフィール
吉崎エイジーニョ (よしざき・えいじーにょ)
ライター。大阪外国語大学(現阪大外国語学部)朝鮮語科卒。サッカー専門誌で13年間韓国サッカーニュースコラムを連載。その他、韓国語にて韓国媒体での連載歴も。2005年には雑誌連載の体当たり取材によりドイツ10部リーグに1シーズン在籍。13試合出場1ゴールを記録した。著書に当時の経験を「儒教・仏教文化圏とキリスト教文化圏のサッカー観の違い」という切り口で記した「メッシと滅私」(集英社新書)など。北九州市出身。本名は吉崎英治。
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