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サガン鳥栖監督「面白い監督はいらないなら、潔く去る」 敗れてもぶれないその哲学 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by J.LEAGUE/J.LEAGUE via Getty Images

【結果は敗れたベストゲーム】

 ただ、自分たちはそこに立ち向かっていこう、とも思っています。昨日のゲームで"何かしていれば"というのは、夜まで考えました。でも結局、スタメン、ベンチメンバーも変えない。ゲームが始まってから何をしていたら、すごく考えましたが......。正直、答えはないです」

――堅く守ってロングボールや攻守切り替えからのカウンターに懸けるチームは、偶然性に相手を引きずり込み、五分五分にした上、ギャンブル性で勝負してきます。そうしたチームは状況に慣れているだけに博打も強い。

「昨日の試合で自分が行き着いたのは、自分の認識をもっと深く変えること、自分の問題にすることだけです。これをやっておけば点がとれたというシチュエーションで、2、3個ズレがありました。スタメンを決める前段階のトレーニングで、個人のところで彼らにもっと落とし込み、習慣化させていたら点はとれていたかもしれません。わかっていながら、"まだその段階ではない"と高をくくって、敗北の前に気づくべきでしたね」

――皮肉にも、今シーズンここまでのベストゲームでした。

「そう思います。そういうこともあるよね、という結果だと思いますが、こういうゲームをしたいのです(苦笑)」

――ディテールで言うと、たとえばアビスパ福岡戦の失点では、原田亘の寄せが甘かったですが......。

「(事情を)聞きましたか?」

――はい。外から見ただけではわからない、不測の事態が起こっているのがフットボールですね。

「いつもの原田だったら、タイトにいっているんです。でも、膝を痛めて動けなかったようです。ケガの状態を知っていて、改善することはできたか。まず、事実を知らなかった。トレーナーも知らなかった。ただ、原田に関しては、本人の"難しい状況でもプレーしようと思った"というところは、これまでと比べて前進と捉えています。その姿勢があれば、今後のリーグ戦で期待できる。

 目の前の試合は大事だし、交代回数で言えばハーフタイムでの交代がベターでしたが、原田は意識の転換で成長した姿を見せ、最低2、3試合は勝利に貢献してくれるはずです」

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