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中村憲剛と佐藤寿人が若手の海外移籍を再び議論「超高校級と言われようが...」「J1のピッチに立たないと...」 (5ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

憲剛 ルーキーだと、紅白戦に入れないこともよくあるしね。寿人の時代はサテライトリーグがあったり、去年まではエリートリーグがあったけど、ちょっと前にはJ3にアンダー23のチームが参戦していたじゃないですか。セレッソとガンバとFC東京が。

 あれが思いのほか、効果があったのではないかと考察されているんですよね。(久保)建英や堂安(律)があそこで実戦経験を積めたのは大きかったと、協会の関係者も言っていましたから。

 今、Jリーグの理事会やフットボール委員会でも、若手にいかに経験を積ませるのかというのは、大きなテーマのひとつになっていて......。実際にいろんなアイデアも出ています。

── 具体的には?

憲剛 そこは立場上、コメントは差し控えますが(苦笑)、個人的な意見を言わせていただくと、たとえばですが、同様に試合になかなか出られていない大学の1〜2年生と、Jリーグの若い子たちの対抗戦みたいなものがあってもいいのかなと。トレーニングマッチではなく、しっかりとした冠をつけて。

 もちろん、地理的な問題もあって大きくは作れないでしょうけど、地域レベルであればやれるのかなと。大学も大学で、一定数出られない子がいますから、Jクラブと大学の同世代でバチバチ戦うのは、お互いにとってメリットがあるのではないかなと思います。

── 今回のU-20日本代表のメンバーに関して言うと、J2所属選手が多かったですよね。

憲剛 大学生もけっこういましたね。そう考えると、やっぱり実戦経験が重要なのかなと。J1で試合に出られていない選手よりも、J2や大学で試合に出ている選手のほうが選ばれる。

 ただ、世界大会に臨むということを考えた場合、日常をどこで過ごしているのかはとても大事。実戦経験を積めることはいいことだけど、対世界を考えれば、日常とのギャップが生じてしまう。

 だから、この世代の強化は本当に難しい。出場機会を確保すべきだと言っても、やっぱりJ1のピッチに立たないと得られないものは、たくさんあると思います。

(中編につづく)

◆第16回・中編>>「U-20W杯で優勝することがゴールじゃない。ここからがスタート」


【profile】
中村憲剛(なかむら・けんご)
1980年10月31日生まれ、東京都小平市出身。久留米高校から中央大学に進学し、2003年にテスト生として参加していた川崎フロンターレに加入。2020年に現役を引退するまで移籍することなく18年間チームひと筋でプレーし、川崎に3度のJ1優勝(2017年、2018年、2020年)をもたらすなど黄金時代を築く。2016年にはJリーグMVPを受賞。日本代表・通算68試合6得点。ポジション=MF。身長175cm、体重65kg。

佐藤寿人(さとう・ひさと)
1982年3月12日生まれ、埼玉県春日部市出身。兄・勇人とそろってジェフユナイテッド市原(現・千葉)ジュニアユースに入団し、ユースを経て2000年にトップ昇格。その後、セレッソ大阪→ベガルタ仙台でプレーし、2005年から12年間サンフレッチェ広島に在籍。2012年にはJリーグMVPに輝く。2017年に名古屋グランパス、2019年に古巣のジェフ千葉に移籍し、2020年に現役を引退。Jリーグ通算220得点は歴代1位。日本代表・通算31試合4得点。ポジション=FW。身長170cm、体重71kg。

★中村俊輔選手との鼎談全文(合計33ページ)収録★
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webスポルティーバの大人気対談
「中村憲剛×佐藤寿人 日本サッカー向上委員会」が一冊の本になった!

 書籍名は「ケンゴとヒサト サッカー人生以外も役に立つサッカーの話」

 ふたりが願う「日本サッカーのさらなる向上」を実現するため、さまざまなテーマに沿って対談形式で本音をぶつけあう。また、カタールワールドカップ直前企画として「ふたりの思い出のワールドカップこぼれ話」、さらにはふたりが熱望した元日本代表MF中村俊輔選手を招いて豪華な「スペシャル鼎談」も収録。プロとして20年近く現役を続けられたふたりの言葉は、「サッカー以外の人生」にもきっと役に立つ。

<中村憲剛さんからのコメント>
「長く第一線でやれたのには理由があります。その要因を紐解くことは、サッカーだけではなく、おそらくサッカー以外の社会や組織にも当てはまること。その『ヒント』になるようなものが、この本には詰められていると思います」

<佐藤寿人さんからのコメント>
「僕らはスポーツの世界で経験してきたことを話していますけど、それをうまく変換して『自分事』として捉えていただき、それぞれの環境で生かしてもらえたら。サッカーをやってきたなかで学んだことは、人生にも役立つんです」

【書籍名】 ケンゴとヒサト サッカー人生以外も役に立つサッカーの話
【発 行】 集英社
【発 売】 2022年11月14日(月)
【定 価】 本体1,700円+税

◆ご予約はこちらから>> 「集英社・書籍案内」 「Amazon」 「楽天ブックス」

著者プロフィール

  • 原山裕平

    原山裕平 (はらやま・ゆうへい)

    スポーツライター。1976年生まれ、静岡県出身。2002年から『週刊サッカーダイジェスト』編集部に所属し、セレッソ大阪、浦和レッズ、サンフレッチェ広島、日本代表などを担当。2015年よりフリーランスに転身。

【写真】新旧「海外組」の成功者たち〜欧州サッカーで輝きを放つ歴代日本人選手『Over The Top』

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