降格枠「1」のJ1残留争い 福田正博が下位3チーム・湘南、横浜FC、柏の巻き返しポイントを指摘 (3ページ目)

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by Getty Images

【横浜FCの試合内容に重苦しさはない】

 横浜FCは第20節で川崎に0-3で敗れ、順位では柏に上に立たれたが、3チームのなかでは上がり目があると見ている。

 J2から昇格1年目の今季は、開幕からの5試合を1分4敗でスタートすると、1分を挟んでふたたび2連敗。その後も引き分けと黒星を重ねるなかで、四方田修平監督が戦い方を変え、5月にはアルビレックス新潟、柏、川崎を相手に白星を手にした。

 その後はふたたび黒星と引き分けを繰り返しているが、試合内容は開幕当初のような重苦しさはないように感じている。

 もちろん、FW小川航基(NEC/オランダ1部)が移籍したダメージはあるし、このまま黒星が連なるようだと、見えかけている光は閉ざされてしまうだろう。だが、2列目で躍動しているFW山下諒也をはじめ、チャンスをつくりだせる選手はいるだけに、彼らの力を生かしながら、対戦相手の力に応じた戦いに徹することができれば、1年でJ2へのリターンは避けられるのではないか。

 この3チームの上にいるのは京都サンガF.C.で、柏との勝ち点差は6。その上のアルビレックス新潟は勝ち点7差。よほどのことがない限り京都と新潟は、残留争いには飲み込まれないとみている。

 例年のようにJ1リーグの残留争いが3枠をめぐる攻防ならば、京都も新潟もボーダーライン上だが、今季は1枠なために心理的切迫感を覚えずに戦える優位性がある。もちろん、下位3チームと力の差が圧倒的にあるわけではないので油断はできない。ただ、切迫感の有無は試合展開に大きく左右するだけに、下位3チームとの直接対決で勝ち点を取りこぼす可能性はかなり小さくなる。

 それだけに、湘南、柏、横浜FCがここから勝ち点を積み上げるのは相当難しいのだが、言い換えれば1勝して勝ち点3を手にできれば、ライバルとの残留争いにひと息つける余裕が生まれるということ。

 泥沼でもがき苦しむ3チームのうち、最初にひと息つけるのはどこか。対戦相手も疲弊する夏場なら勝ち点を手にするチャンスは広がるだけに、少ない機会を逃さないように戦ってもらいたい。

福田正博 
ふくだ・まさひろ/1966年12月27日生まれ。神奈川県出身。中央大学卒業後、1989年に三菱(現浦和レッズ)に入団。Jリーグスタート時から浦和の中心選手として活躍した「ミスター・レッズ」。1995年に50試合で32ゴールを挙げ、日本人初のJリーグ得点王。Jリーグ通算228試合、93得点。日本代表では、45試合で9ゴールを記録。2002年に現役引退後、解説者として各種メディアで活動。2008~10年は浦和のコーチも務めている。

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