降格枠「1」のJ1残留争い 福田正博が下位3チーム・湘南、横浜FC、柏の巻き返しポイントを指摘

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by Getty Images

福田正博 フットボール原論

■残り14試合あるJ1だが、残留争いは早くも勝ち点を伸ばせていない3チームに絞られてきている。今年J2へ降格するのは1チーム。最下位を抜け出すポイントを福田正博氏に聞いた。

湘南の山口智監督(左)と柏の井原正巳監督(右)。直接対決は引き分けに終わった湘南の山口智監督(左)と柏の井原正巳監督(右)。直接対決は引き分けに終わったこの記事に関連する写真を見る

【湘南は守備の立て直しをできるか】

 Jリーグは2024年からJ1を20チームで行なうため、今季終了時点でのJ1からJ2への降格は「1枠」となっている。現状の戦いぶりと数字を見ると、共に勝ち点14の16位柏レイソルと17位横浜FC、勝ち点13で最下位の湘南ベルマーレの3チームで残留争いが続きそうだ。

 最下位の湘南ベルマーレは、開幕前に5位以内を目標に掲げて今季に臨み、開幕戦はサガン鳥栖に5-1で大勝。続く横浜FC戦、川崎フロンターレ戦に引き分けて好スタートを切った。しかし、4月末から5連敗を喫し、引き分け1試合を挟んで4連敗。

 そんなチーム状況で迎えた7月8日の第20節は、柏と残留争いの直接対決となり、先制点を奪われながらも柏に退場者が出たこともあって、試合終盤になんとか引き分けに持ち込んだ。クラブは「監督交代はない」と明言しているものの、もしこの試合で敗れていたら山口智監督の交代劇が起きた可能性は否めないだろう。そして、その選択肢は今後も残されている。

 この夏にカタールW杯日本代表のFW町野修斗がドイツ2部のキールに移籍して苦しい状況に追い込まれた。J1得点ランキング上位(9得点)につけていた町野の穴を埋められなければ、攻撃面での上がり目が見つからない。

 加えて、湘南が現在厳しい状況にあるのは、守備が崩壊していることだ。6月24日のサガン鳥栖戦で6失点、翌節の浦和レッズ戦で4失点、7月2日の横浜F・マリノス戦で4失点。柏戦こそ1失点だが、守備が改善されたというよりは相手の攻撃力がそれ以前の3チームより落ちたと見たほうが妥当だろう。山口監督は守備を改善できるのか。湘南の残留はそこにかかっていると言っても過言ではない。

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