川崎フロンターレの「絶対的守護神」チョン・ソンリョンとポジションを争う33歳・上福元直人の「異色な経歴」を紐解く (5ページ目)
【同じ土俵で勝負するのか否か】
そのうえで、自分はどうやってひとつしかないポジションを掴むのか。彼が川崎に来た理由であり、彼が求めていた挑戦だった。
「GKとしての自分のスタイルとは何かを再確認しました。(ソンリョンさんと)同じ土俵で勝負するのかと言われたら、それは違う。何のために自分はフロンターレに来たのか。それは自分がこれまで培ってきた自分のスタイルでチームに溶け込み、結果を出して、ポジションを勝ち取っていくこと。
それを考えた時、GKとしてゴールを守ることは大前提ですけど、自分にできることはそれ以外にもたくさんあって、攻撃でチームにプラスアルファをもたらせることが、GKとしての自分の存在意義なのではないかと、改めて認識することができました。自分の強みをさらにバージョンアップさせることによって、このチームでの必要性を高められるのではないか、と」
上福元は自分のプレースタイルを「攻守におけるハードワーク」と言う。GKの特徴としては聞き慣れず、まるでフィールドプレーヤーを示す表現だが、その攻守こそが川崎で確立しようとしている姿だった。
前に進む、いや、前に出ることで彼は、チームに新たな基軸をもたらそうとしている。
◆上福元直人・後編>>ゴールキーパーなのにハードワーク? これが「プロで生き残る道」
【profile】
上福元直人(かみふくもと・なおと)
1989年11月17日生まれ、千葉県千葉市出身。市立船橋高→順天堂大を経て、2012年から2017年まで大分トリニータに在籍(2013年に2カ月、当時JFLのFC町田ゼルビアへ期限付き移籍)。その後、東京ヴェルディ(2018年〜2019年)→徳島ヴォルティス(2020年〜2021年)→京都サンガF.C.(2022年)とJ3からJ1まで各カテゴリーでプレーし、2023年に川崎フロンターレに完全移籍。ポジション=GK。身長182cm、体重76kg。
著者プロフィール
原田大輔 (はらだ・だいすけ)
スポーツライター。1977年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌『ワールドサッカーグラフィック』の編集長を務めたのち独立。Jリーグを中心に取材し、各クラブのオフィシャルメディアにも寄稿している。主な著書に『愛されて、勝つ 川崎フロンターレ「365日まちクラブ」の作り方』(小学館クリエイティブ)など。
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