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ヴィッセル神戸、横浜F・マリノスほかJリーグ序盤好調の4チームを福田正博が分析「今年の大迫勇也は本来の輝きを放っている」 (3ページ目)

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by Getty Images

【浦和の好調を支える興梠慎三】

 この3チームを追う浦和レッズは、開幕から2連敗を喫した。パワーフットボールに近い、中盤を省略するようなサッカーをしていた。パワーフットボールが悪いわけではない。ただ、浦和にいる選手の特性を考えた時に、向き不向きで相性が悪いと思っていた。

 新たに就任したマチェイ・スコルジャ監督がこの戦い方を続けるようだと厳しいシーズンになると感じたが、そうはならなかった。戦い方やスタイルは、勝利に近づくためにある。それで勝てないのなら路線を切り替えることも監督の手腕のひとつで、スコルジャ監督は見事に勝利という目標のために柔軟に対応した。

 現在の浦和の好調を支えているのが、興梠慎三だ。前監督のもとでは出番が激減して移籍していたが、今季は浦和に戻って存在感を放っている。興梠が最前線に入ることで、選手間の距離が近づいてコンビネーションも生まれ、いい攻撃ができるようになっている。

 ただ、興梠も36歳。1シーズン通じてフルに躍動していくには使い方を考慮しなければならなくなっている。興梠を休ませながら勝ち点を積み上げていくためには、外国人FWのパフォーマンスが大事になってくるだろう。

 チームが好調だと攻撃陣に目が向きがちになるが、浦和もDF陣が安定している。そして、神戸や名古屋、横浜FMにも言えることだが、好調なチームはボランチがしっかりしていて、これは浦和にも当てはまる。岩尾憲と伊藤敦樹が関係性のよさを生かして、攻守でボールに関わることでリズムを生み出している。

 浦和がさらに力強い結果を残していくには、左サイドからの崩しがポイントになると見ている。現状では右サイドに入る大久保智明のところからしか独力での打開は見られない。左サイドも攻撃面で違いを発揮できるようになると、ゴールシーンはさらに増えるのではないか。

 今シーズンはまだ序盤戦が終わったばかり。この4チームがこのまま終盤戦まで行く保証はない。ほかのチームが勝ち点を伸ばせば伸ばすほど、混戦模様は強まっていき、優勝への勝ち点は引き下がることになる。創設30周年の記念すべきシーズン、ここからJリーグはさらに熾烈を極めていく。

福田正博 
ふくだ・まさひろ/1966年12月27日生まれ。神奈川県出身。中央大学卒業後、1989年に三菱(現浦和レッズ)に入団。Jリーグスタート時から浦和の中心選手として活躍した「ミスター・レッズ」。1995年に50試合で32ゴールを挙げ、日本人初のJリーグ得点王。Jリーグ通算228試合、93得点。日本代表では、45試合で9ゴールを記録。2002年に現役引退後、解説者として各種メディアで活動。2008~10年は浦和のコーチも務めている。

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