ダイヤの原石はどうやって見つけるのか。フロンターレのアカデミー専任スカウトが「スピードや高さ」より重要視すること (4ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • photo by AFLO

「以前はスピードや高さ、さらには技術といった目立つところに自分自身も飛びついてしまっている傾向がありました。でも今は、その子が本当に楽しそうにプレーしているのか、サッカーに対して自主性があるのかどうかを注意して見るようにしています」

 町クラブでプレーしている選手を、ジュニア世代のうちにU−10やU−12に引き抜くことはなく、ジュニアユースになるタイミングで、チームに加入してもらうように働きかけている。そのため、スクールにエリートクラスを設立し、そこでの練習参加や活動を促している。ジュニア世代ではセレクションも開催しているが、大田和が活動して5年目となり、スカウトの効果は着実に表れている。

「来シーズンからジュニアユース年代のU-15が2チーム体制になるのですが、半数以上がスカウトしてきた選手になります。自分がスカウトを担当する以前は、セレクションだけだったので、受けに来てくれた選手のなかから優秀な選手を選ぶしか方法がありませんでした。でも今は、それ以外の選手たちについても把握することで、相対的に見ることができるようになりました。いい素材がいい指導を受けていけば、必然的に全体のレベルも上がっていくように感じています」

 そのU−15を指導する玉置晴一監督も言う。

「今まではセレクションだけだったので、U-12からうちで育ってきた選手と、中学生になり外部から加入した選手とで、ボールを止めて蹴るという技術や、うちの選手が持っているマインドの部分で、必然的にバラツキがありました。

 今はスカウトが技術的なベースがあり、サッカーに対する強いマインドを持っている力のある選手たちに声をかけてくれているので、その差を感じなくなりました。思春期を迎える子どもたちなので、最初は当然、外と内というライバル意識はありますが、それも含めてお互いに刺激し合いながら成長していってくれているように感じています」

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