ダイヤの原石はどうやって見つけるのか。フロンターレのアカデミー専任スカウトが「スピードや高さ」より重要視すること (6ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • photo by AFLO

 プロになる選手を輩出することを目標とするアカデミーとしては、やはりひとつの成果であり、結果だった。

 大田和は「僕は彼を連れてきただけで、努力したのは彼自身です」と前置きしつつ、「任された役割が5年目でひとつ形になったのかなとは感じました」と話す。

 各クラブともに育成年代におけるスカウト活動が活発化するなか、大田和はモットーを聞かせてくれた。

「うちに来ればプロになれる、という言葉は絶対に言わないようにしています。プロになるかどうかは僕らではなく、選手自身が努力してつかむものなので」

 トップチームがJ1で優勝し、アカデミー出身選手がそこで活躍、さらには世界にも飛び出していることで、大田和の活動も優位に働いているという。今では、彼の目にとまった選手の多くが、川崎フロンターレでプレーする選択をしてくれるようになった。

「理想は、誰もが川崎フロンターレでプレーしたいと思うクラブになることだと思います。スカウトが多ければ多いほど、選手を見る目は増えるかもしれませんが、大切なのはクラブ自体の価値を上げていくことです。そうすれば大関のように、フロンターレのことが好きで、フロンターレに入りたかった選手が増えていく。そんな選手がU-15からでも、U-18からでも経験を重ねていくことのできるルートを作れたらいいなと思っています」

◆第4回につづく>>小林悠や大島僚太に衝撃を受け、中村憲剛に教えを請う。フロンターレの若手有望株はこうやって次々と育つ

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