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森島寛晃が引退後も渇望するリーグタイトル。「セレッソじゃなきゃダメなんです」の言葉が示すチーム愛 (3ページ目)

  • 佐藤俊●取材・文 text by Sato Shun
  • photo by Getty Images

「やめた時、悔いはありました。ノーチャンスではなかっただけにひとつもタイトルを獲れなかったのは、ほんまに悔しかった。とくに05年は自分がタイトルを獲れる最後のチャンスだったのに獲りきれなかった。そのせいか、引退してもタイトルを獲りたいという思いは強いままでした。自分は、セレッソじゃなきゃダメなんです。サポーターと同じ気持ちなんですよ。選手時代、勝てそうで勝てない時期が続いたんで、引退しても、その思いはずっと変わらなかった」

 森島の思いは2005年から12年後、2017年に成就する。セレッソ大阪は、ルヴァン杯決勝で川崎フロンターレを破り、初タイトルを獲得したのだ。森島は、統括部に在籍しており、決勝戦はスタンドから見ていた。

「1-0で勝っていたんですけど、選手時代から最後の笛が鳴るまで優勝したとか、そういう気持ちになったらあかん、油断したらあかんと思って、スタンドで見ていたんです。チーム関係者とかは終了前に下に降りていくけど、自分はまだ1-0やし、笛が鳴るまで動かんようにしようと思っていた。でも、ソウザが2点目を入れた瞬間(90+2分)、ダッシュで下に降りていきました。みんなのところに行ったら歓喜の瞬間が終わっていたので、喜び方がわからず(苦笑)。一緒にわーってなるのを味わいたかったんですけどね」

 埼玉スタジアムは、スタッフが見る席が5階にあり、階段を使って下りていくと時間がかかるので、笛が鳴り、チームが喜びを爆発させた瞬間に間に合わなかったのだ。

「初タイトルは、ほんまに嬉しかった。この時も優勝する瞬間までサポーターが必死に応援している姿を見ていて、こっちがウルウルしてきました。なんか最近、涙もろくなってきて、結婚式のお父さんのスピーチとか見ても涙が出てくるんですよ(笑)」

 森島は選手たちに促されて優勝ボードの前に進み、ルヴァンカップを手にした瞬間、スタジアムに「モリシ」コールが響き渡った。現役時代には見られなかったセレッソのエースが優勝杯を上げる姿をサポーターもずっと待ち続けていたのだ。

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