家本政明がレフェリー視点で明かす、「これはすごい！」と思った現役Ｊリーガー５人 (5ページ目)

常に冷静

上田綺世（FW／鹿島アントラーズ）

　上田綺世選手は残念ながら一緒にやる機会はなかったんですが、スカウティングなどで自分が関わるなかで見たり、レフェリーを辞めて何試合かを見たりして、久々にいわゆる点取り屋タイプの選手が出てきたという印象を受けました。一緒にやってみたかった選手です。

　彼の特徴は常に冷静なところだと思います。レフェリングに対しても不満を言ったり、レフェリーに突っかかったり、興奮して我を忘れるようなシーンを見たことがないですし、すばらしい人間性の持ち主だと思います。

　それからとくにDFとの駆け引きの部分。ゴール前は一瞬の駆け引きですけど、その一瞬で相手を外してポジションを取ります。彼はその時にあまり動き回らないんです。

　そこで動き回る選手はたくさん見てきましたが、彼はそこまで動き直しもせず、瞬間的にDFの視界から消えて相手が「あっ！」となる瞬間に自分が狙ったところにポジションを取ってゴールを奪ってしまう。

　もちろん、点を取る技術やボールテクニックも非常に高いわけですが、彼の点取り屋らしい駆け引きのうまさは目の前で見てみたかったなと思います。

　日本代表クラスのストライカーはたくさん見てきましたが、スケール感は本当に大きなものを感じますし、海外への移籍のチャンスはまだまだあると思いますので、彼がどこまで活躍できるのか見てみたいという思いがあります。日本人として応援したいですね。
（後編「家本政明が挙げる印象深い元Ｊリーガー５人」につづく＞＞）