横浜FC小川航基が新天地で好調。W杯メンバー入りに向け、渇望している「爆発的なゴール数」 (2ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by アフロスポーツ

同世代選手の海外移籍に「悔しい」

 小川がゴールへの執念と渇望を隠さないのは、チームの勝利のためにという強い想いからだが、一方で個人として悔しい経験をしてきたからでもある。昨年、東京五輪が開催され、U―24日本代表チームがメダルを目指して戦ったが、小川はその22名の枠に入れなかった。代表チーム結成時は、エースとして期待され、小川自身も「東京五輪から世界へ」と思い描いていたが、その目標を実現できなかったのだ。

「東京五輪のメンバーに入れなかった時は、もっと何かできたんじゃないかと思いました。本当の悔しさを感じたのは、大会が始まって選手がプレーしているのを見た時です。自分が出たいと望んでいた舞台に立てなかった悔しさ、哀しさ、もどかしさを感じました」

 東京五輪でチームはメダル獲得までには至らなかったが、それでも個々の評価を高めた選手が海外へとプレーする場を移していった。

「同世代の選手がステップアップしていくなかで、自分がそうなっていないのは悔しいです。ただ、Jリーグで活躍して、海外に出ていくのはずっと持ち続けてきた目標なので、それは今も諦めていません。サッカーは何が起こるかわからないので、まだこれからだと思っています」

 東京五輪が終わり、小川が代表でプレーする場は、もうA代表しかない。11月にはカタールW杯が開催される。小川にとって、W杯とはどういうものなのだろうか。

「小さい頃から憧れの舞台でしたし、その場に立ちたいと思ってやってきました。そのためにも力をつけて、結果を出して代表に食い込んでいけるようにしたい」

 小川は、どうすれば森保一監督の視線を自らに向けられると思っているのだろうか。

「もう得点しかないと思います。爆発的なゴール数とあいつは調子いいなっていうのを見せていくしかない。9月までゴール数で頭ひとつ、ふたつ抜けていないと僕みたいな立場の選手は難しいと思うので、とにかくゴールをたくさん決めてアピールしていくしかないですね」

 W杯前の日本代表において滑り込みのチャンスが一番大きいのはFWだろう。森保監督はこれまでの実績、貢献度を重視しているが、FWは旬なモノでもあり、結果を出している選手の勢いがチームにもたらす影響は大きい。ドイツW杯時の巻誠一郎のようにサプライズで選出される可能性はFWに限っては十分にある。

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