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柏木陽介が浦和を去ることになった「1年前のルール破り」を語る。まさか本当に必要とされなくなるとは... (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by (C)FC GIFU

挫折を知らないキャリア

「うまく伝えてほしいですけど......」

 柏木はそう前置きしたうえで、当時の心境を語り始めた。

「2年間、苦しいシーズンを過ごしてきたなかで、自分のなかでストレスが溜まっている部分はありました。それをうまく発散できなくて......。浦和愛が強すぎた分、浦和のためにすべてを捧げて、浦和で引退するんだということばかりを考えすぎて、視野が狭くなっていたと思います。

 試合に出られず、それができない状況になったことに対してフラストレーションを溜めこんでいました。それは今、こういう状況になって、初めて気づいたことです」

 もうひとつの原因は、"挫折"を知らないキャリアにあったのかもしれない。

「それまで順調にいきすぎていましたね。サッカー選手として、ずっと試合に出続けて、代表にも呼んでもらって。もちろん、もっと代表に絡みたかったという想いもありますけど、正直、マイナスなことがほとんどないサッカー人生を送れていたと思います。

 そこにも慢心があったんでしょうね。試合に出られなくなった時の自分をコントロールする術(すべ)を知らなかったんですから」

 受け止め方によっては言い訳に聞こえるだろう。

 しかし、すべての行動には理由がある。柏木は偽らざる胸の内を明かしてくれたのだ。言い訳ではない。あの"事件"の背景は、これがすべてである。そして浮かび上がるのは、柏木陽介という男が抱える"もろさ"ではなかったか。

「まさか、こうなるとは思っていませんでした......」

 自身のもろさによって犯した過ちは、最悪の事態を招くことになる。

「僕の場合はこれだけの話じゃなくて、前の年の件もあったなかで(※コロナ禍で禁止されていた家族以外の知人との会食が判明)、今回も許してくれるんじゃないかという甘さがありました。長くやってきた選手をそんなに簡単には切らないだろう、という慢心もあったと思います。だから、まさか本当に必要とされなくなるとは考えてもいませんでした」

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