2022.03.11

柏木陽介、J1から一気にJ3へ。気づいたのは「俺ってこんなもんやな」

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by Getty Images

柏木陽介(FC岐阜)インタビュー@後編

 柏木陽介は、決して罪を犯したわけではない。ルールを守れなかっただけにすぎない。もちろん、ルールを守れなかったことは非難されるべきことだ。社会的影響の大きいプロのアスリートであればなおさらだろう。

 しかし、犯した過ちを反省し、やり直しの利く世の中であるべきだ。その意味で、柏木は助けられた。FC岐阜が救いの手を差し伸べてくれたことで、サッカー選手のキャリアをやり直すことができたからだ。

◆柏木陽介@前編はこちら>>「まさか本当に必要とされなくなるとは...」

岐阜をJ2昇格させるべく全力で臨む柏木陽介岐阜をJ2昇格させるべく全力で臨む柏木陽介 この記事に関連する写真を見る 「すぐに声をかけてくれたのが、岐阜の小松(裕志)社長でした(当時はGM)。J3でよければ、来てほしいと。僕のなかではJ1でやりたい気持ちもあったし、興味を持ってくれるクラブがあったのも確かです。

 ただ、コンプライアンス的な問題だったり、金銭的な問題もあって、オファーにまでは至らなかったんですね。でも、岐阜はすべてをひっくるめて、来てくれと声をかけてくれました。そんなに求めてもらったことが何よりうれしかったですし、だから割と早い段階で岐阜に行くことを決めていました」

 J1から一気にJ3へ----。レベルはもちろん、クラブの規模も違えば、環境も大きく異なる。それでも柏木は、プライドを捨てて、情を取り、覚悟を持って岐阜へと向かった。

「苦しい戦いになると思っていました。でも、その環境に身を置くことが、今の自分には必要なんじゃないかって。実際に行ってみて本当にしんどくて大変でしたけど、自分に足りない部分を補えたと思うし、まだまだ成長させてもらえるとも感じています。だから、小松社長はもちろん、受け入れてくれたチーム、サポーター、岐阜の街も含めて、感謝の気持ちしかないですね」

 拠点とする練習場はあるが、別会場で練習することもあり、洗濯も自分でしなければいけない。バス移動の遠征も、30歳を超える柏木には楽なものではなかった。

「それも含めていいのかなと思ったし、楽しんでやっていこうって。今まで何もかもが満たされていたなかで、そういうことを経験することが、今の僕には必要なこと。本当に難しい環境と言われるなかで、どれだけできるかというのも見せてやろうと思っていました」