柏木陽介、J1から一気にJ3へ。気づいたのは「俺ってこんなもんやな」 (4ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by Getty Images

背番号42に込められた意味

 子どもが生まれたことで、早寝早起きの生活にもなった。食に対する意識を高め、身体のケアやオフの過ごし方にも気を遣っているという。

「完全に身体を休ませることはしなくなりました。休ませすぎると、逆に動かなくなっちゃうので。身体のケアに関しても、浦和時代にお世話になったトレーナーさんが今年ふたりも来てくれたので、心強いですね」

 岐阜で1年を過ごし、"岐阜愛"は日増しに高まっているという。

「いいところがいっぱいですよ。山と川しかないですけど(笑)。あと温泉も。ご飯もおいしいですし、人も優しい。公園もたくさんあるので、子育ての環境としては最高ですね。奥さんも、ずっと岐阜にいたいと言っていますしね」

 柏木が岐阜で背負う「42」という番号にも意味がある。

「県内の42市町村がサポートしてくれているクラブなので、この番号にしました。もっと地域に根づいたクラブにしていきたいんですよね。今はコロナ禍なので、できないこともありますけど、学校訪問だったり、サッカー教室だったり、それぞれの町に出向いていくことをもっとやりたいなって。

 今もSNSを通じて、42市町村の魅力を伝えていくこともやっています。その魅力を伝えながら、岐阜県全体が心から応援したいと思えるようなクラブにしていきたい。もちろんサッカー選手としては、J2、J1に行けるようなチームにすることが目標ですね」

 人は誰もがミスを犯す。そして、人生は何度でもやり直すことができる。決して華やかな舞台でなくてもいい。過ちを糧に、柏木陽介は今年もサッカー選手であり続けている。

【profile】
柏木陽介(かしわぎ・ようすけ)
1987年12月15日生まれ、兵庫県神戸市出身。2006年、サンフレッチェ広島ユースからトップチームに昇格。プロ1年目からレギュラーとしてプレーし、翌年のU−20W杯では10番を背負って「調子乗り世代」の主軸として活躍する。2009年に浦和レッズに移籍。2010年には日本代表デビューも果たす。2021年よりFC岐阜に所属。ポジション=MF。身長176cm、体重73kg。

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