柏木陽介が浦和を去ることになった「1年前のルール破り」を語る。まさか本当に必要とされなくなるとは...
柏木陽介(FC岐阜)インタビュー@前編
まさか、ここまで大事になるとは思っていなかった。
外出禁止の掟(おきて)を破ったことはよくないことだと理解しているし、チームに迷惑をかけたことも十分に反省している。
ではなぜ、柏木陽介は厳しく定められたルールを破ってしまったのか。
FC岐阜で2年目のシーズンを迎える柏木陽介この記事に関連する写真を見る 2021年2月4日の夕刻、柏木はチームメイトの杉本健勇を連れ立って、キャンプ先の沖縄で懇意の飲食店を訪れた。
「お世話になっているお店がコロナ禍で苦しんでいるのを知っていました。すごく困っているということだったので、ちょっとだけ顔を出してあげようと思い、お店を貸し切りにして行くことにしました」
もちろん、うしろめたさはあった。
「お世話になっている人といっても、みんなが我慢しているなか、ベテランで、自覚を持たなければいけない立場の僕が、そういう行動をとったのは当然よくないことです」
柏木にエクスキューズがあるとすれば、コロナ禍における初めてのキャンプだったということ。ルールはあるものの、それを破った場合にどれだけの報いを受けるかまでは、想像できていなかったのかもしれない。
ちょっとだけならいいのではないか----。
しかし、その甘い考えが、柏木のサッカー人生を大きく狂わせることになる。
2010年にサンフレッチェ広島から加入して以来、柏木は長年、浦和レッズの司令塔として君臨し続けてきた。2016年にはルヴァンカップを制し、翌2017年には大会MVPに輝く活躍で、チームをACL制覇に導いている。
ところが2019年は出番が減少し、2020年はケガの影響もあり、自身のキャリアで最も少ない9試合の出場にとどまった。
だからリカルド・ロドリゲス監督が就任した2021年は心機一転、自身が輝きを取り戻すためのシーズンとするはずだった。
「モチベーションも高かったし、身体も動けていたので、楽しみではありました」
だから、もったいないと思うのだ。柏木のプレースタイルはリカルド・ロドリゲス監督のサッカーに合うと考えられていたし、復活の土壌は整えられていたはずだったからだ。
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