杉本健勇、苦悩の夏。「練習に行くのもイヤ。朝がくるのもイヤで逃げ出したかった」

  • 佐藤 俊●取材・文 text by Sato Shun
  • photo by (c)JUBILO IWATA

Jリーグ2022開幕特集
新天地に賭ける男たち(3)
杉本健勇(ジュビロ磐田)インタビュー@前編

2022年シーズン、ジュビロ磐田に期限付き移籍した杉本健勇。photo by (c)JUBILO IWATA2022年シーズン、ジュビロ磐田に期限付き移籍した杉本健勇。photo by (c)JUBILO IWATAこの記事に関連する写真を見る 規格外の逸材――。2012年ロンドン五輪で奮闘していた頃は、そう言われて将来を嘱望されていた。それから5年後の2017年シーズン、ようやく自らの殻を破ってJ1で得点王争いを演じ、キャリアハイの22得点を挙げた。

 杉本健勇は、ようやくその呼び名に追いついたのだ。

 しかし、その後は低迷。2019年シーズンにはセレッソ大阪から浦和レッズに完全移籍を果たしたが、そこでもさらなる飛躍に結びつけることはできなかった。そして2022年シーズン、期限付き移籍によってジュビロ磐田でプレーすることが決まった。

 2017年シーズン以降、杉本に何が起こっていたのだろうか――。

「レッズの1年目の夏は、ホンマに苦しくて(サッカーを)やめたいと思っていました」

 杉本は、厳しい表情でそう言った。

 2017年シーズン、杉本はセレッソで34試合22得点という自身最高の成績を残し、チームをJ1リーグ3位に導く活躍を見せた。

「2017年は、J1に昇格したばかりで挑戦のシーズンになったんですが、最初は不安しかなかったです。でも、(相手に)警戒されず、のびのびとやれたので、結果が出たのかなと。今思うとですけど、点をとれたことを含めて、いろんなことがうまくいきすぎたのかなぁって思います」

 杉本はそう謙遜するが、活躍するための下地は17歳の頃から始めた体つくりにある。その当時に出会ったトレーナーと、より本格的に取り組んだのは22歳になってからだ。以降、年々動きがよくなり、プレーの質が上がっていった。

 ポンと突然うまくなったわけではなく、そうした地道なトレーニングの成果が徐々に現れ始めたのが2016年シーズン(J2で41試合出場14得点)であり、花開いたのが2017年シーズンだった。

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