中村俊輔、ベンチ外という屈辱の日々。キング・カズ「サッカー、楽しいな」の言葉に勇気をもらった (4ページ目)

  • 中島大輔●取材・文 text by Nakajima Daisuke
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

【自分のサッカーは時代遅れなのか】

「カズさんの経験からしたら、もうわかっているわけよ。サッカーってやっぱり、こういうもんだよって。『楽しいな』ってことは、自分らで考えて、お互いの発想をすり合わせて、いろんなパイプを作ってできた時に、めちゃくちゃ力が引き合わされる。『サッカーで会話する』ではないけど、それが『楽しいな』に込められている。俺には、すごい勇気が得られる言葉だった」

 故障しているわけでもないのにベンチから外れることは、中村にとってこのうえない屈辱だった。それでも自身が置かれた状況を受け入れ、力を尽くした。

 中村にとって在籍3シーズン目となる2021年。横浜FCは開幕から6連敗を喫し、8試合を終えて1分け7敗の最下位に沈んだ。クラブは下平監督を解任してユースから早川監督を昇格させたが、盛り返すことはできず、2試合を残してJ2降格が決定した。

 低迷するチームにあって、40歳を超えてベンチから外れる試合が続いた中村は、「自分のサッカーはもう時代遅れなのかな」と感じることもあったと振り返る。だが、それでも前に進むことができたのは、三浦にかけられた言葉が大きかった。

 サッカー、楽しいな----。

「その言葉には、いろんな意味が込められているからね。カズさんもヴェルディでそういうサッカーをやってきて、チャンピオンになってきたわけじゃん。現代サッカーも大事だけど、でも、『サッカーの根っことして大事なのはこれでしょ』みたいなことを毎回練習で確認できたことが大きかった」

 三浦に背中を押されながら自身のやるべきことを続け、2021年シーズン終盤、早川監督からラスト5節のうち4試合でピッチへ送り出された。戦いの場に立つと、「自分のサッカー感は間違っていない」とあらためて感じられた。

 そして新年まで残り1カ月をきった頃、横浜FCから1年契約の再オファーが届いた。

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