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負けてなお強し。アルビレックス新潟のJ2首位快走にはワケがある (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Getty Images

 攻撃的なスタイルを志向しているとあって、好調なチームのなかで注目されがちなのは前線の選手たちだ。10番を背負う20歳のMF本間至恩や、昨季J3得点王で"個人昇格"を勝ち取ったFW谷口海斗らが、その筆頭格だ。

 しかしながら、今季の新潟が目指すスタイルを確立するにあたり、むしろカギを握っているのは、パスワークの起点となる最終ライン。なかでも絶対不可欠な存在となっているのが、センターバックを任されている35歳、DF千葉和彦である。

 サンフレッチェ広島時代、3度のJ1制覇に大きく貢献した千葉の持ち味は、類まれなビルドアップ能力。パスを受けるためのポジショニングやフィードセンスのよさは群を抜いており、その力だけで言えば、Jリーグナンバー1のセンターバックと言ってもよかったほどだ。

 当時の広島は、ボールを動かすことで意図的に相手の守備を広げ、すかさず空いたスペースを突いていくことを得意としたが、そこに千葉の能力は欠かせないものだった。

 16年前、新潟でJリーガーとしてのキャリアをスタートさせた千葉は、広島から名古屋グランパスを経て、今季から古巣に復帰。昨季11位に終わった新潟が今季、加速度的にスタイルの確立を進められた背景に、ベテランDFの存在があることは見逃せない。

 さすがに現在は年齢も30代半ばとなり、全盛期ほどのキレはなくなっているとはいえ、最終ラインでも落ち着いてボールを扱い、時に自ら前方へ持ち運び、時に一撃必殺の縦パスを通す。その力は、J2レベルではいまだ抜きん出ている。

 ボールを保持して試合を進めたい新潟にとって、日本には数少ない"異能"を手にしたことの意味は大きい。まだ14節を終えたばかりの今季、チームとして千葉の能力をもっと効果的に取り込み、さらに練度を高めることができれば、一度止まったかに見える勢いも、一段と加速する可能性すらある。

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