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Jリーグアジア戦略の現在地。
ティーラトン獲得などプラス効果多数 (4ページ目)

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko
  • 高橋 学●撮影 photo by Takahashi Manabu

「欧州リーグは、海外からの放映権料で巨額の利益を得ています。その内訳を見ると、60%近くがアジアからのお金だということがわかりました」(山下)

 そこで、アジアから欧州に流れるお金を少しでもJリーグに流入させる手はないかと考えた。さらに、アジアのリーグにJリーグのリーグ運営やコーチング、選手育成などのノウハウを売って得た収益を、Jクラブに分配できないかと考えたのが、アジア戦略室のスタートだった。

 ただ、ノウハウを売ると言っても、サッカーの中心地である欧州に敵わないのは明白。欧州にはない日本独自のセールスポイントが必要だった。この時注目したのが、日本の成長曲線だった。

「日本はその昔、タイやマレーシアに勝てない時代がありました。でもJリーグ発足を機に急成長し、ワールドカップ常連国となりました。この急激な成長曲線は、世界でも日本だけだということに注目しました」(山下)

"弱かった=強くなったノウハウがある"、"歴史が浅い=短期間で強くなるノウハウがある"、"アジアにいる=アジアで共に成長できる"。欧州と比較してそれまで弱みだと思っていた点を、捉え方一つで次々と強みに変換することができた。ノウハウ提供と言ってもおぼろげだったそのイメージが、一気に開けていった。

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