福田正博が2020年のJ1を展望。上位争いに加わる注目クラブは? (6ページ目)

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by Getty Images

 浦和がこのオフに獲得した新戦力は、レオナルド(前新潟)、武田英寿(青森山田高)、トーマス・デン(前メルボルン)と、期限付き移籍から復帰した伊藤涼太郎ら。『2022年のJ1制覇』への1年目とはいえ、補強は万全だったのかという疑問は残る。スタートダッシュに失敗したら、サポーターの不満が噴出しかねないだけに、結果を残してもらいたい。

 名古屋はしっかり補強をした印象だ。川崎から阿部浩之、広島から稲垣祥、湘南から山崎凌吾らを獲得。昨季途中に就任した守備の構築に定評のあるマッシモ・フィッカデンティ監督が率いる。「風間前監督の攻撃的なスタイルをベースに、守備をしっかり構築して上位進出」という考えがあるのかもしれない。ただし、サッカーは攻守一体のスポーツで、守備力が高まったら、今度は得点が奪えなくなるということは十分ありうる。攻守のバランスがどうなるのか気になるところだ。

 どのクラブも成功を目指していくなか、順位という結果が出るのがプロの世界。だからこそ、成功すれば多くのものを手にでき、失敗すれば失うものもある。これは監督や選手だけではなく、チームづくりの根幹を担っているクラブのフロントにも言えるだろう。

 個人的に、今シーズンは各クラブの「フロント力」にとくに注目していきたい。選手補強や監督・コーチ獲得のためのネットワーク、育成や広報活動、資金の活用方法や海外クラブとの提携など、職員やスタッフ、GMや強化部長らを含めて総合力が高いクラブがどこなのか。さらに魅力的なJリーグになることを期待しながら、新シーズンの幕開けを楽しみにしたい。

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