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名古屋のフィッカデンティ監督が
テストする「驚き」の新布陣とは (3ページ目)

  • 飯尾篤史●取材・文 text by Iio Atsushi
  • 六川則夫●撮影 photo by Rokukawa Norio


「阿部くんは唯一、変化をつけられる選手だと思う。決定的な仕事ができるから、どんどん使っていきたい」という米本の言葉を借りるまでもなく、技術とフットボールインテリジェンスの高さはガンバ大阪、川崎時代に証明済み。得点力を備えるうえに、攻撃の潤滑油的な役割をこなせてハードワークもできる阿部は、マッシモ・グランパスのトップ下にうってつけの存在だ。

 選手層は間違いなく増しており、ディフェンスリーダーの丸山祐市は「シャビ(シャビエル)もジョーも、これからもっとアピールしていかないといけない。いい競争ができれば、いい順位につながるはず」と、競争力のアップを感じていた。

 ......と、ここまで新加入選手や新たな取り組みについて触れてきたが、ある意味、それ以上に期待したいのが、ふたりのベテラン選手だ。

 今年31歳になる丸山と33歳になる太田----。いずれもFC東京時代にフィッカデンティ監督のもとでプレーし、日本代表に選出されるなど幸福な時期を過ごした。

「僕はマッシモだった2015年、代表に呼んでもらっています。チームがいい状態なら代表に呼ばれるチャンスもありますし、今年31歳なので難しいかもしれないですけど、プロでやっている以上、そういったところもしっかり狙って、チームとして上に行けるように。口で言うのは簡単なので、プレーで示すことが大事だと思っています」

 丸山が今季にかける思いを明かせば、太田も覚悟をのぞかせた。

「今年は勝負の年だと強く思っています。今年はメンツも揃っているし、僕自身、去年は東京で試合に出られなくて名古屋にやって来て、もう一回這い上がるというか、得点に直結するようなプレーを増やしていきたい。名古屋は上位に行かなきゃいけないチームなので、貢献したい」

 細部に徹底的にこだわるフィッカデンティ監督の戦術は、チームに浸透するのに時間がかかる。その点においても、米本、吉田を含め、FC東京や鳥栖で指揮官の指導を仰いだベテランたちがチームメイトにもたらす影響は大きいはずだ。

 指揮官のスタイルを知り尽くすかつての教え子たちと、戦術にマッチした期待の新戦力、そこにブラジル人選手たちが噛み合えば、リーグでも指折りの陣容が完成するのは間違いない。

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