しびれる状況続く。大宮アルディージャはJ1昇格争いに生き残れるか (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki

 すると、大宮は5-4-1の守備ブロックをしっかりと形成したうえで、そこからボールに対してアプローチしていく、慎重策へと切り替えた。三門が語る。

「ヴェルディの最近の数試合を見て、怖いのは(ボールに)食いつくこと。(自分たちがボールに食いついてしまい)スペースを空けると、そこにスピードのある選手が入ってくる。なので、ボランチが(中央を)空けなければ、そんなに怖くないと思っていた」

 と同時に、三門曰く、「(ヴェルディの)センターバックが自陣に入ってくるくらいまで相手を引き込んじゃったほうが、カウンターを発動しやすい」。大宮は戦術変更が功を奏し、ボールを奪うと、次々に効果的なカウンターを繰り出した。

 たしかに、指揮官が「最近の試合で勝ち切れないことが、ああいうシーンにつながっている」と指摘したように、せっかくのカウンターの場面で、攻撃を完結できないシーンが何度か見られたのは気になった。カウンターから作ったチャンスの数のわりに、結局は2点止まり。3点目、4点目を取るチャンスは十分にあったはずだ。

 とはいえ、貴重な先制点にしてもCKから生まれたものではあったが、そのCKは、敵陣での相手スローインのボールをうまく囲い込んで奪ったところに端を発する、鋭いカウンターで得たものだ。

 つまりは、セットプレー=飛び道具で強奪したように見える得点も、大宮の狙いどおり、いい守備からいい攻撃へとつなげるなかで生まれた、理想的なゴールだったのである。

「そんなにピンチもなく、ゼロで抑えられた。こういうゲームを続けられれば、勝ち点3を取っていける。狙いどおりの試合だった」

 三門も胸を張り、そう話していたが、前節まで4試合続いていた悪い流れを、大宮はいい形で断ち切ったと言っていいだろう。

 大宮はこの勝利で、順位のうえでは6位から5位へとひとつ上げたに過ぎないが、勝ち点では57まで伸ばし、2位の横浜FCと並んだ。J1自動昇格となる2位は、まだまだ手の届くところにある。勝ち点66で、2位に勝ち点9差をつける首位の柏が、J1自動昇格の1枠をすでに確保しつつある現在、現実的なターゲットは2位狙いだろう。

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