伊藤翔は海外→日本の移籍で苦労「小野伸二さんに教育してもらった」 (4ページ目)
――いろいろな経験を経て、脂がのった時期とも言える。日本で2度目の移籍で気を配った点というのはありましたか?
「それも特にはありません。清水へ加入したときが大変だったから、そこで学んだことが大きく、アジャスト能力が身についたんだと思います。まあ、僕自身の年齢も上になり、自分よりも上の選手が少なくなってきたのも大きいのかも。今も朝ロッカーへ入るときは、年齢が上の選手だけを見ています(笑)。逆に今までチームメイトに同級生がいるというのが意外と少なかったんですけど、鹿島には(永木)亮太とヤス(遠藤康)がいて、こんなに仲良くなるとは思わなかった。ヤスのことは15歳くらいから知っているけれど、亮太とはお互いの存在は知っていても話したことはなかったから」
――そういえば、鈴木優磨選手と食事に行かれたと話していましたが、お二人はいわゆるライバル関係ですよね(笑)。
「確かに同じポジションですけど、だからといって、ライバル視してバチバチやっているってことはないんです。マリノス時代にも(同ポジションだった)ウーゴ・ヴィエイラとは年齢も同じで、とても仲良くしていました。その出会いが大きいですね。選手としても尊敬できるし、人間としても苦労してきたウーゴには深みもある。マリノスは1トップシステムだったので、あいつが出れば、僕が出られないという関係ではあったけれど、試合に出れば、頑張ってほしいと思えるし、僕が出れば、あいつの分もと素直に思える。普通FWって、自分が点を獲りたいという気持ちが強いから、あんまりそんな関係は築けないんですけど。でも、自然と仲良くなった。ウーゴも不思議がっていましたね。でも、同志なんですよ。だから、わかり合えるところも多いんです。優磨がどう思っているかわからないですけど、僕は早く優磨といっしょにプレーしたいです」
――鹿島は2トップシステムですからね。
「僕自身、1トップよりも2トップのほうが好きだし、もともとは2トップの選手なので。そういう意味では、鹿島は(2トップなので)やりやすい。そもそも試合に出られる可能性が2倍になりますから(笑)。どこのクラブでもFWには力のある外国人選手が補強され、ポジション争いをしなくちゃいけないのは、FWの宿命。日本にいても外国人と競わなくちゃいけないんです」
――今、新星鹿島と言われていますが、どんな影響をチームメイトに与えたいと思っていますか?
「チームを勝たせられるポジションにいるわけだから、その仕事への意識は強いです。鹿島は勝ってなんぼのチームだし、プロは勝ってなんぼの世界だから。若手に与える影響というか......、困っている選手や悩んでいる選手に何か言ってあげられることもあるかもしれないけど、若い選手はみんなしっかりしているから。でも、まずは、しっかり結果を残すことが一番大事。そうして初めて、僕に話を聞いてみようというふうになるだろうから」
4 / 4