千葉県民が見た千葉ダービー。9年前のライバル関係はそこになかった
毎年、プレシーズンにチバテレ(千葉テレビ放送)で流れていたから、千葉県民である筆者にとっては久しぶりという感じはなかったが、リーグ戦での対戦は9年ぶりだそうだ。千葉ダービーのことである。
9年前も、舞台はJ2だった。前年にともに降格の憂き目にあい、ついに千葉県からJ1のチームが消えた年である。
千葉に帰ってきた佐藤寿人はチームの現状を憂う もっとも、両者はそこから対極の道を歩む。柏レイソルは1年でJ2から抜け出すと、翌年にはJ1優勝も実現。クラブワールドカップにも出場し、ACLの常連にもなった。
一方、ジェフユナイテッド千葉は、あれ以来、すっかりJ2が定位置となっている。J1昇格に迫った時もあったが、近年はJ2でも低迷し、昨季は史上ワーストの14位に終わった。イビツァ・オシム監督に率いられ旋風を巻き起こしたのも、今や昔。今年でJ2在籍は10年目を数えている。
両者の関係性は、すでにライバル同士のそれとは異なるのかもしれない。1年でのJ1復帰を目論む柏と、J2にどっぷりとハマってしまった千葉。「やるか、やられるか」というダービーマッチ特有の殺伐とした雰囲気を、この試合から感じることはできなかった。
試合は立ち上がりから、柏が主導権を握った。開始早々に江坂任が決定機を迎えると、10分にもクリスティアーノが惜しいチャンスを迎える。激しいプレスでくさびを潰し、相手の高いラインの裏を鋭く突いていく。一方的な展開に、両者の実力差が早くも浮かび上がった。
25分にクリスティアーノが豪快に先制点を叩き込むと、39分には右サイドを完璧に崩して、瀬川祐輔が追加点を奪取。前半のうちに勝負は決したと言っていい。
後半は千葉がボールを持つ時間が増えたものの、柏は落ち着いた対応でこれをいなし、カウンターから決定機を次々に創出。追加点こそ奪えなかったものの、2−0と危なげなく勝ち点3を手にしている。
「今日は我々が最初から最後まで、ほぼゲームを支配することができたんじゃないかなと思います。相手の分析に基づいてトレーニングを積み、こういう形で結果を収めることができて非常によかった」
ネルシーニョ監督は、穏やかな表情で試合を振り返った。
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