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千葉県民が見た千葉ダービー。
9年前のライバル関係はそこになかった (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by Getty Images

 一方、敗れた千葉の江尻篤彦監督は、悔しさを押し隠しながら、完敗を認めている。

「試合は見てのとおり、前半は相手の圧力に後手を踏んでしまい、それが後半も続いてしまった。負けを受け入れないといけない試合だった」

 柏にとっては、今後につながる大きな1勝となった。なぜなら、ここまで相手を圧倒する戦いを示せていなかったからだ。

 柏は昇格候補の筆頭に挙げられながら、対戦相手の警戒にあい、思うように勝ち点を積み上げられていない。とりわけ、得点力には大きな課題を残し、押し込みながらも人数をかけて対応する相手の守備を崩しきれない試合が目立っている。

「他のチームは『何とか食ってやろう』という高いモチベーションで僕たちに挑んでくると思います。去年も落ちたチームが上がれなかったように、J2のレベルも上がってきている」

 開幕前に大谷秀和はそう語っていたが、図らずもその言葉が現実のものとなりつつあった。

 そのなかで迎えた今回の千葉ダービー。しかし、そんな停滞感を払拭するに十分なパフォーマンスを示したのだ。

 17対2というシュートの数もさることながら、複数得点を奪えたのも好材料だろう。第19節にして、これは3度目のこと。これまで、いかに柏が苦しんできたかがうかがえる。

「あれだけ高いラインで来る相手はなかなかないので、裏を取りやすかったし、ハマった部分はある」

 大谷は、攻撃が機能した要因が千葉の対応にあったと分析する。実力上位のチームに対し、ゴール前に人数をかけて守るのが常套手段。ここまでの柏は、そうした相手に苦戦を強いられてきた。

 しかし、千葉はリスクを承知で高いラインを保つ戦いを標榜するため、前線のスピードを生かしやすい状況にあったのである。それを認めつつ、大谷は手応えも口にする。

「この間の福岡のように、下がってスペースを消してくる相手に対してどうするか。今日は3人目の動きでリュウ(小池龍太)が抜けたりしていたので、ああいう動きは引いた相手に効果的だと思う。全体の距離感も福岡戦に比べればよくなってきているので、もっと合ってくれば攻撃はよくなると思う」

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