「この流れは2、3年続く」流経大柏の
名将が語る高校サッカーの傾向 (2ページ目)
「ロングスローが武器では情けないと思っていますし、もう少し流れのなかで取れたシーンもあったと思う」
流経大柏の本田裕一郎監督は、苦笑いを浮かべながら試合を振り返った。しかし、こうも続ける。
「技術だけを見ると首をひねるところがあると思うが、戦い方としてはいい内容だった」
多くの名手を育ててきた高校サッカー界の名将は、選手たちのパフォーマンスに一定の評価を与えていた。
今大会の流経大柏の戦いは、たしかに技術的な部分では他を圧倒しているわけではない。ハイプレスとハードワークを徹底し、まずは相手に自由を与えないことを最優先事項とする。ボールを奪えば手数をかけずに縦につけ、少ない人数で相手ゴールに迫るサッカーを展開する。
そこには小気味よいパスワークや、アタッキングサードでの連動性といった創造性は存在しない。準優勝した昨年のチームも、ハードワークという部分では共通するが、攻撃軸を担ったテクニシャンの菊地泰智(現・流通経済大1年)がいた分、攻撃面にはよりアイデアや多様性があった。
しかし、今年のチームはインテンシティの部分がさらに強調されている。技術よりもフィジカルや走力といった面が、より求められているのだ。
その理由を本田監督は、次のように説明する。
「今大会は、プレスが早いチームが勝ち上がっている。全国に出ているチームで、ポゼッションがうまいチームは少なくなっている。おそらく、この流れは2、3年は続くでしょう。
ただ、そこでひと皮むけて、次の方向に向かうのかなと感じている。この早いプレスをかいくぐるために、技術やパスワークのレベルが上がっていくのではないでしょうか。
そういう意味で、今大会は高校生のことを考えると、非常にいい内容の大会。もっとプレスをかけて、そのなかで使える技術が本物だと思う。いい傾向じゃないかと私は思っています」
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