検索

浦和レッズ、Jリーグ優勝への開幕ダッシュに失敗──福田正博「得点力が巻き返しのカギ」

  • text by Tsugane Ichiro

福田正博 フットボール原論

■大型補強で話題となった今季の浦和レッズだが、開幕ダッシュに失敗。しかし、ここに来て勝ち点を積み重ねられてきている。巻き返しのポイントをOBの福田正博氏に聞いた。

【課題は得点力にある】

 浦和にとって価値ある1勝になった。ホームに清水エスパルスを迎えた4月2日の第8節は、渡邊凌磨が開始4分に先制点を奪うと、後半14分にマテウス・サヴィオが追加点を決めた。後半34分に1点を失ったものの、リードを守りきって2-1で今季2勝目を手にした。

浦和レッズは第8節の清水エスパルス戦で、今季2勝目 photo by Kishiku Torao浦和レッズは第8節の清水エスパルス戦で、今季2勝目 photo by Kishiku Toraoこの記事に関連する写真を見る オフシーズンにマテウス・サヴィオを獲得するなど大型補強に動いて期待値の高かった浦和だが、今季はアウェーでの開幕戦でリーグ2連覇中の王者・ヴィッセル神戸と引き分けたのはよかったが、続く2戦目の京都サンガF.C.戦で歯車が狂った。相手に先制を許しながらも引き分けに持ち込んだが、前半15分で渡邊が負傷交代したことが、その後の試合で痛手となった。

 渡邊を欠いた浦和は、第3節の湘南ベルマーレ戦を1-2で落とし、柏レイソル戦は0-2で敗れて2連敗。第5節のファジアーノ岡山戦を1-0で勝利してホームで今季初勝利を飾ったが、その後も波に乗りきれなかった。第6節の鹿島アントラーズ戦、第7節のセレッソ大阪戦とアウェーで2試合連続の引き分け。

 もったいなかったのは鹿島戦だ。先制点を決め、多くの時間帯で鹿島らしさを封じたが、試合終了間際に同点弾を喫した。あそこで勝ち点3が奪えていればと思えてしまうが、あそこで同点に追いつけるのが今季の鹿島の強さでもあるわけだ。C大阪戦では前半2分で先制点を献上し、ほとんどの時間帯で相手にペースを握られた。しかし、復帰初戦となった渡邊が後半途中から出場し、値千金の同点弾を決めて引き分けに持ち込んだ。

 開幕から第7節までの戦績は1勝4分け2敗で、総得点5、総失点7。勝ちきれない試合が多かったが、守備陣は健闘していたと言っていい。1試合平均1失点は及第点で、それ以上を望むのは酷だ。

 課題は得点力にあった。1トップのチアゴ・サンタナは7試合で3得点。期待されて加入した昨季は、数字こそ36試合12得点とまずまずだったが、試合のなかでのインパクトという部分では物足りなさがあった。だが、今年は京都戦の同点弾や岡山戦の決勝点のように試合結果を左右するゴールをあげている。これを継続してくれれば、浦和の1トップは安定するのではと見ている。

1 / 3

著者プロフィール

  • 福田正博

    福田正博 (ふくだ・まさひろ)

    1966年12月27日生まれ。神奈川県出身。中央大学卒業後、1989年に三菱(現浦和レッズ)に入団。Jリーグスタート時から浦和の中心選手として活躍した「ミスター・レッズ」。1995年に50試合で32ゴールを挙げ、日本人初のJリーグ得点王。Jリーグ通算228試合、93得点。日本代表では、45試合で9ゴールを記録。2002年に現役引退後、解説者として各種メディアで活動。2008~10年は浦和のコーチも務めている。

【画像】マンガ『他サポ夫婦』夫(横浜F・マリノス)vs 妻(浦和レッズ)が別々のクラブを応援

キーワード

このページのトップに戻る