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浦和レッズ、Jリーグ優勝への開幕ダッシュに失敗──福田正博「得点力が巻き返しのカギ」 (2ページ目)

  • text by Tsugane Ichiro

【大きかった渡邊凌磨の不在】

 チアゴ・サンタナのほかに第7節までに得点を決めた選手は、第2節と復帰初戦の第7節でゴールを決めた渡邊、そして鹿島戦で得点を決めた松本泰志だけだった。マテウス・サヴィオは第8節の清水戦で今季初ゴールを決めたが、それ以前はノーゴール。

 ただし、彼はそもそも得点をバンバン決める選手ではない。中盤で攻守に貢献しながらチャンスメイクし、流れのなかでゴール前にも顔を出すという持ち味は見せている。味方との連係がもう少し高まってくれば、ゴール数はグッと伸びるだろう。

 結局のところ、開幕ダッシュに失敗したのは、渡邊の負傷が大きかったと言える。開幕前のキャンプでは攻撃面に時間を割いてきたが、その中心にはつねに渡邊がいた。マチェイ・スコルジャ監督は2列目に松本を置き、さらに1列後方に渡邊を置くことで、彼の3列目からの飛び出しとゴール前でのシュート技術の高さを生かそうとしてきた。実際、渡邊がピッチに立った試合では、彼のゴールによって勝ち点を手にできている。

 それだけに彼が再び不在になったらどうするのか。その解決策を見つけるのも、スコルジャ監督にとってここからのテーマになるだろう。

 スコルジャ監督は、2023年シーズンにリーグ4位、ACL2022優勝、ルヴァンカップ準優勝に導いた手腕が評価されている。2023年限りで浦和をいったん離れ、2024年9月から浦和の監督に復帰したが、そこからの戦績は3勝3分け5敗。実は夏場で解任されたペア・マティアス・ヘグモ前監督の時よりも成績を下げている。

 2023年シーズンにも感じられたことだが、スコルジャ監督は守備の構築はうまいものの、攻撃のところでのアイデアは豊富とは言えないタイプだ。今季はマテウス・サヴィオや金子拓郎など、攻撃的な選手を獲得したが、もともと浦和の攻撃的なポジションには実績のある選手が多い。これは渡邊が不在の時に、あらゆる方策が試せる利点がある一方、結果がでなければ豊富な戦力はチーム崩壊につながりかねない高いリスクになることも忘れてはならない。

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