J1で息づく「ミシャイズム」 元コンサドーレ札幌の選手たちが移籍先で活躍のわけ
ニッパツ三ツ沢球技場は、さながら同窓会会場となっていた。
3月15日に行なわれたJ1第6節。横浜FCvsセレッソ大阪のメンバー表には、前所属に「北海道コンサドーレ札幌」と記された選手が、両チーム合わせて5人も名を連ねていたのである。
すなわち、横浜FCの福森晃斗、駒井善成、C大阪の田中駿汰、ルーカス・フェルナンデス、進藤亮佑の5人である。
加えて言えば、横浜FCを率いる四方田修平監督もまた、前所属は札幌だ。2016年には監督として札幌をJ2優勝、そしてJ1昇格へと導くと、2018年からはミシャの愛称で知られるミハイロ・ペトロヴィッチ監督にその座を譲り、自らはコーチとして2021年まで経験豊富な指揮官を支えた。
「今日はいつもより(元札幌の選手が)多いなと思いながら、試合に入りました。ルーカスがいたり、駿汰がいたり、ベンチに進藤がいたりとか。非常に感慨深い試合でした」
試合後、笑顔でそう語っていたのは、四方田監督である。
今季から移籍加入した横浜FCで活躍する駒井善成 photo by J.LEAGUE/J.LEAGUE via Getty Images 今季J2へと降格した札幌は、昨季まで四方田監督で1シーズン(2017年)、ペトロヴィッチ監督で7シーズン(2018~2024年)の合計8シーズンにわたってJ1で戦い続けた。それまでJ1とJ2を行ったり来たりしていた札幌にとって、8シーズン連続のJ1在籍はクラブ史上最長記録である。
なかでも特筆すべきは、ペトロヴィッチ監督の存在だ。これほどの長期間、札幌を率い、クラブをJ1に留め続けた指揮官は、彼をおいて他にはいない。
とはいえ、潤沢な資金を持つとは言い難い札幌にあって、ペトロヴィッチ監督はただただ勝負にこだわり、J1にしがみつくだけのチームを作ったわけではない。
引いて守りを固める"弱者の論理"で戦うことをよしとしない指揮官は、常に相手ゴールに向かい続けることを目指し、そのためのアイデアをチームに落とし込んだ。
「ミシャさんとやったことで、攻撃的なマインドとか、リスクを負ってでも攻めていくという、そういうメンタリティは僕自身もそうだし、ミシャさんと関わった選手というのは、みんなが学ぶことなのかなとは思います」とは、四方田監督の弁だ。
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