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39歳GK南雄太は、「永遠のような
失点のループ」に耐えて進み続ける (2ページ目)

  • 小宮良之●文 Komiya Yoshiyuki photo by Etsuo Hara/Getty Images

「なんであそこに弾いてしまったのか、こぼれ球にもっと速く反応できなかったか、何かできたんじゃないのか......永遠にループしています」

 その晩、南はまどろみの中でゲームを脳内再生し、何度も何度も失点を食らったと言う。

「相手GKに対するマーキングで、『走らせるな!』と言えていたら、とか。もっと時間を巻き戻し、前がかりになっているチームを抑え、時間を使わせていたら、とか。勢いに水を差したとしても、それがベテランである自分の役目ではなかったか。全部、自分のプレーに対する後悔ばかりですね」

 時間を戻せるわけもなく、思い出すたびに徒労を感じたが、それはプロ選手として必要な儀式に思えた。

 東京V戦で、彼は決定的FKを腕一本ではじき返している。それは1失点を救ったに近いだろう。また、攻撃陣があまりあるチャンスをひとつでも決めていれば、(引き分けでも勝ち上がるルールにより)負ける試合ではなかった。

 彼自身には、敗戦の責任はない。

 しかし、GKにとって失点はどんな形であれ、重くのしかかる。FWのように、ゴールを取り返して帳消しになるポジションではない。そもそも39歳のGKは、ポジションの孤独と向き合うことでゴールマウスに君臨してきた。

「GKはひとつしかない特殊なポジション。あらためて、そう思いますね。FWのように交代出場して5分で結果を出す、とかはない。ポジション争いも、チームが勝てないとか、ケガしたとか、ネガティブな理由が多くなりますから」

 南は言葉を継いだ。

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