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岩政大樹の言葉に支えられ、
昌子源は「背番号3の魂を受け継いだ」 (6ページ目)

  • 寺野典子●文 text by Terano Noriko
  • 渡部 伸●写真 photo by watanabe shin

――昌子選手はよく『失点することで成長できる』と口にしますが、それもまた開き直るという強さなんだと感じます。

「最初は強がっている部分もあったかもしれませんが、それが事実であることも確か。(大岩)剛さんからもずっと『失点に絡まないセンターバックはいないし、失点に絡まないセンターバックはセンターバックじゃない』と言われていた。だからこそ、失点を無駄にしない成長をしなければいけないと」

――危険な場所を察知できているから、失点にも絡みやすい。失点を恐れて何もしないのは、センターバックではないということですね。

「だと思います。そう考えて、切り替えるためのタフさが身についたからこそ、そういうふうに言葉にできると思うので、メンタルが強くなったんですよね。ACLの水原三星戦(準決勝セカンドレグ)でもし勝ち上がれなかったら、ひどく落ち込んだと思います。でも、同点にして決勝へ行けたことは、本当に感謝しています」

――失点にも心が折れない。その姿勢が鹿島のセンターバック、背番号3を成長させる。

「チームメイトや監督は今まで俺がやってきたことを知っている。たとえプレーの精度が悪くても、声を出せるとか、カツを入れるとか、そういう今までに築き上げたものがあるから、信頼を得られるんだと考えています。たとえば1試合だけいいプレーができても、それだけで信頼は手にできない。ピッチでチームのために貢献し続けてきたからこそ、信頼を得られる選手になれる。その信頼が自信になるんです。だから、もう今では周囲に何を言われても動じないようになりました」

――背番号3は一朝一夕では生まれないということですね。

「はい。時間をかけてじっくりとこのチームに馴染み、どっしり構えて、いい時も悪い時も堂々としているのが鹿島のセンターバックだなと思っています。最近、篤人さんに『源がそこにいるだけで、チームの力になる。相手に圧をかけられる』と言ってもらえました。(三竿)健斗からも、『いてくれるだけで、安心できる』とも。うれしかったですね」

――鹿島のディフェンダーの魂とは?

「最初はなんかピンとこなかったし、今も簡単に言葉で説明するのは難しい。でも、声を出すとか、最後の苦しいときに一番身体を張っているとか。そういうところなんだと感じています。控えにいる選手のなかには、『源くんよりも俺のほうがいいのに』と思う選手もいるかもしれない。でも僕が得た信頼は、僕が築いてきたものだから。実績を積むことで存在感や信頼感が増し、初めて、"鹿島のセンターバック"なんだと思います」

西 大伍 編へつづく>>

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