岩政大樹の言葉に支えられ、
昌子源は「背番号3の魂を受け継いだ」 (2ページ目)
「鹿島って、変な言い方やけど、ちょっといやらしいよね。こういう舞台になったら、恥じることも躊躇もなく、ロングボールを蹴る。カッコいいとかカッコ悪いとか関係なく、勝つためにならめちゃくちゃカッコ悪い戦いもやってしまう。途中から出た選手も含めて、すべての選手がそういう意識でプレーしているから。それは憎いなあって思う。俺が相手だったら、本当にいや。だってうっとおしいやん(笑)」
この試合ではGKへのバックパスはほぼなかった。前線の選手が不用意なバックパスをすれば、叱責されている。徹底したリスクマネージメントのもと、試合終了を告げる笛が鳴る。
「鹿島は優勝しなければいけないというプレッシャー、責任感もあります。試合前のピリピリしたムードもあるなか、こういう大舞台に慣れている先輩方が多いので、僕にとって心強かった。僕自身タイトルを獲った経験はなかったけれど、想像以上に気持ちがいい。あの笛が鳴った瞬間は今後忘れないと思いますし、こういう経験は何回もしたい。ここで喜びを与え続けられる選手になりたい」
若い安部裕葵はそう言って、タイトル獲得の感動を味わい、次なるタイトルを欲した。優勝という現実が、選手の欲をさらにかき立てる。タイトルが次のタイトルへのエネルギーとなっていくのだ。
鹿島アントラーズの20冠はそんなサイクルの末に重ねられた歴史だった。
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