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プロ生活23年の明神智和「引退を考えると
正直、怖い。というか、不安」 (4ページ目)

  • 高村美砂●取材・文 text&photo by Takamura Misa

 今、自分がプレーしているのはプロリーグの中で一番下のカテゴリーのパルセイロで、このチームに『いらない』と言われたら、イコール、『やれる』ということではないと思うから。そのときは、自分が『やれる』って思うことと、周りの『やれる』の評価が違うという現実を、受け入れます」

 迷いなく、きっぱりと言い切る彼に、続けて尋ねる。これだけ長いプロサッカー人生を歩んできたなかで、その決断を下すことに怖さはないのか。

「正直、怖いです。次の人生が少しでも見えていたら違うと思うけど、僕にはそういうものが何もないだけに、怖い。怖いっていうか、不安かな。今年の1月には子供も生まれて、余計にそう思います。自分だけならどうとでも生きていけるけど、家族を食べさせていかなきゃいけないと思えば、なおさら不安になる。

 でも、かといって性格的に現役をしながら、次の人生の準備をすることはできないというか。漠然とながらも、指導者には興味があって、B級ライセンスまでは取得したけど、そういう講習に行ったら行ったで、違う目線でサッカーを見るようにもなり、『頭が固くなって、プレーに影響していないかな』と不安になりますしね(笑)。

 って考えても、やっぱり現役選手である間は、"J2昇格"という目標に向かって、精一杯現役をやり切るのが自分らしいし、それ以降のことは、そのときになって考えればいいのかな、と。これまでも、ひとつのことを全力でやり切った先には必ず次の人生が拓けてきたように、引退を決めたときには、また何か見えてくるものがあるはずだから」

 大事なのは、いつかは訪れるそのときに、自分が後悔なく決断をするために、日々の練習に、目の前の目標に、全力で挑むこと。その繰り返しのなかで築いてきた23年というキャリアを信じればこそ、明神は"今"に全力を注いで走り続けている。

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