37歳・高木和道。JFLの苦労も、難病と闘う妻の大変さを思えば...
ベテランJリーガーの決断
~彼らはなぜ「現役」にこだわるのか
第2回:高木和道(MIOびわこ滋賀)/後編
(前編はこちら>>)
2000年6月に、通っていた京都産業大学を中退し、清水エスパルスでプロとしてのキャリアを歩き始めて17年目となる2016年。高木和道は自身初の"海外移籍"を実現した。タイ・リーグ2(2部)のエアフォース・セントラルFCだ。当初は慣れない環境に戸惑いもあったが、自身がそれを受け入れ、楽しさを見出すようになってからは、チームからの信頼も厚くなり、ピッチで安定した活躍を示せるようになる。
事実、昨年のタイ・リーグ2には全試合に出場。念願のトップリーグ昇格を実現させたことで、クラブからは来季の契約延長を持ちかけられる。もちろん本人も快諾したが、その後、人生は急展開を見せた。
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タイでの最初のシーズンをフル出場で戦い終え、最大の目標だったトヨタ・タイ・リーグ(タイ・リーグ1)昇格を実現し、来季の契約延長も勝ち取った矢先のことだ。高木は、思いもよらなかった出来事に見舞われる。妻の身に異変が起きたのだ。
実は、昨年の8月にもタイの病院で診察を受けた際、悪性リンパ腫の中でも3%ほどの発症率とされる稀(まれ)な血液の癌(がん)が判明。急遽、帰国して抗がん剤治療を乗り越え、一旦はタイに戻れるほどまでに回復していたのだが、12月のPET検査で"再発"が明らかになる。
最初の治療を終えた際は、高木曰く、「ドクターからタイに戻ってもいいと言われたくらいだったから、家族全員が安心していた」という。その状況を受けて、エアフォースとの契約延長にもサインをし、新居への引越しも終えていたが、状況は一変した。
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